現代の働き方は多様化しており、会社に所属せずに単発の仕事を受ける「ギグワーク」という働き方が注目を集めています。
自分の都合に合わせて働くことができ、新しい働き方を模索している方にとっては魅力的な選択肢のひとつかもしれません。
本記事では、ギグワークとは何か、そのメリット・デメリット、副業として取り組む場合の注意点などについて解説していきます。
ギグワークとは
近年、自由な働き方が求められるようになり、新しい働き方の一つとして「ギグワーク」が注目されています。ここでは、ギグワークの定義や増えている背景について解説します。
ギグワークの定義
ギグワークとは、企業との雇用契約を結ばずに、単発の仕事を請け負う働き方のことを指します。英語のスラング「ギグ(Gig)」と、「ワーク(Work)」を組み合わせた造語として、2019年ごろに登場したといわれます。代表的な例として、ウーバーイーツの配達員などが挙げられます。
ギグワークが増えている背景
ギグワークが増えている背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 自由な働き方を求めるニーズの増加
従来の就業スタイルに疑問を持つ人が増え、自由な働き方を求めるニーズが高まったことが大きな要因です。 - インターネットの普及によるマッチングプラットフォームの発展
インターネットの普及により、求職者と依頼者をマッチングするプラットフォームが発展し、様々な分野でギグワークが増えています。 - コロナ禍による働き方の変化
コロナ禍によりテレワークやリモートワークが普及し、より自由な働き方が求められるようになりました。また、自宅での副業やスキルを活かした収入を得ることができるギグワークが注目されています。
自由な働き方を求める人にとって、新しい選択肢の一つとして注目されるギグワークについて、さらに深く知ることで、自分に合った働き方を見つけるヒントとなるかもしれません。
ギグワークのメリット・デメリット
ギグワークという働き方にはいくつかメリットとデメリットあります。
ギグワークをするか迷っている方は、メリット/デメリットを踏まえて自分に合っている働き方かどうかを確認してみるといいでしょう。
ギグワークのメリット
近年、自由な働き方として注目されるギグワーク。
自身で仕事を選び、時間・場所にとらわれず働けるという点が魅力的で、若い世代を中心に人気が高まっています。まずは、ギグワークのメリットについて紹介します。
自由度が高く自分らしい働き方ができる
ギグワークの最大のメリットの一つに、自由度が高く自分らしい働き方ができる点が挙げられます。
従来の正社員やパートタイムのような定型的な働き方では、働く時間や場所、給与などは企業によって規定され、個人の希望には合わせられませんでした。しかし、ギグワークは単発の仕事を受けるため、自分のペースに合わせた働き方ができます。
たとえば、自分が好きな時間に働くことができます。午前中に子供の世話をしたい場合は、午後から仕事をすることができます。夜型の人は深夜に働くこともできるでしょう。
また、場所にもこだわらずに働くことができます。自宅やカフェ、図書館など自分が集中できる場所で働くことができます。さらに、自分のスキルに合った仕事を選ぶことができるため、自分の得意分野で働くことができます。
このように、ギグワークは自分らしい働き方ができる点が大きなメリットです。自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるため、ストレスを感じずに働くことができます。また、自分のスキルを活かした働き方ができるため、自己実現にもつながります。
スキルアップや新しい仕事のチャンスがある
ギグワークは、さまざまな業界の仕事に携わることができます。そのため、自分自身のスキルアップや、新しい仕事のチャンスを得ることができるというメリットがあります。
フリーランスのライターとして活動している人が、ある企業からマーケティングの仕事のオファーを受けた場合、自分が持っているライティングのスキルを活かしながら、新しい分野でスキルアップすることができます。
新しい仕事に挑戦することで、自分の市場価値を高めることもできます。
例えば、デザインの仕事をしている人が、Web制作やコーディングの仕事をすることで、幅広いスキルを身につけることができます。そして、より多くの業務を受注することができるようになり、収入を増やすことができるかもしれません。
ギグワークを通じて、新しい人脈を得ることもできます。異なる業界や職種の人と仕事をすることで、新しいアイデアや視点を得ることができます。これは、自分のスキルアップにとどまらず、新しいビジネスやプロジェクトのチャンスにつながることもあります。
ギグワークをすることで、自分自身のスキルアップや、新しい仕事のチャンスを得ることができ、より多くの収入や市場価値を得ることができます。
副業として収入を得ることができる
ギグワークは、副業として取り組むことができるため、本業以外にも収入を得ることができます。現在、日本では副業解禁が進んでおり、副業による収入を得る人が増加しています。ギグワークは、副業として取り組みやすい仕事の一つです。
副業に取り組むことで、本業以外にも収入源を持つことができます。例えば、本業が正社員である場合、給料以外にも報酬を得ることで、生活費や趣味などに充てることができます。
本業とは異なる業界の仕事に携わることで、幅広い経験や知識を身につけることができ、自己啓発やスキルアップにつながることもあります。
ギグワークは単発の仕事が多いため、本業と両立しやすい点もメリットです。
ギグワークの報酬は、作業が完了した時点で支払われることが多いため、急な出費があった時や緊急時にも、収入を得ることができます。
ただし、副業にはいくつかの注意点もあります。
まずは、本業と副業の兼ね合いについて、企業規則や就業規則を確認することが大切です。労働時間や作業量によっては、副業を行うことができない場合があるため、注意が必要です。
最近では、企業によっては副業禁止や副業に関する規制がある場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。
ストレスフリーである
仕事を受注するため、長期的な人間関係を築く必要がなく、職場の人間関係に起因するストレスを受けることが比較的少ないとされています。
自分で仕事を選ぶことができるため、自分に合わない仕事やストレスの多い仕事を避けることができます。自分でスケジュールを調整することもできます。過剰な残業や急な仕事の増加によるストレスも軽減されるでしょう。
しかし、ギグワークは単発の仕事が多いため、収入が不安定になる可能性があることや、自分で仕事を探さなければならないこと、報酬が低い場合があることによるストレスも存在します。自宅での作業が多い場合、孤独感や生産性の低下によるストレスも発生することもあるでしょう。
一方で、ギグワークを通じて自分のスキルや知識を磨き、自己成長やキャリアアップに繋がることもあります。ストレスを最小限に抑えながら、自分自身の能力を向上させることができるのもギグワークの魅力のひとつです。
ギグワークのデメリット
ギグワークはメリットも多いですがデメリットもいくつかあります。働く前にはメリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておくことが大切です。
収入が不安定であること
ギグワークでは単発の仕事が多いため、その都度新しい仕事を探さなければなりません。つまり、仕事がない日や、探している間は収入がなくなるということです。
ギグワークでは単価が安いというケースもあります。競争が激しく、その分単価が下がってしまったり、案件数が少なくて好条件の仕事が見つからなかったりすることもあります。これらの要因によって、月々の収入が安定しづらくなるというデメリットがあります。
安定した収入が必要な人にとっては、不安定なギグワークでは収入面でのストレスが大きくなるかもしれません。一方で、収入が必要な時には、空いた時間に簡単に仕事を受注できる点がメリットとなる場合もあります。
自己責任が大きいこと
ギグワーカーは、企業や団体などの雇用関係にはないため、自分自身で仕事を探したり、契約を行ったり、報酬の交渉を行ったりする必要があります。このような自己責任があるため、仕事がなくなったり、クライアントとのトラブルが発生した場合、自分で責任を取らなければなりません。
仕事がなくなった場合、次の仕事を探さなければならず、それが難しければ収入が途切れる可能性があるため、経済的なリスクが生じます。また、クライアントとのトラブルが発生した場合、契約書などの法的な文書がない場合は、紛争が解決することが困難になる可能性があります。さらに、ギグワーカーは、健康保険や年金保険に加入する必要があるため、その手続きや費用負担も自分で行わなければなりません。
このように、ギグワーカーは、雇用されている従業員に比べて、自己責任が大きくなることがあるため、注意が必要です。
スキルアップの機会が少ないこと
ギグワーカーは、仕事が単発であるために、一定期間以上同じ仕事を続けることができず、仕事内容によっては、スキルアップの機会が少なくなるデメリットがあります。
ギグワーカーは、仕事をこなすための必要なスキルを学ぶ時間が限られていることがあります。例えば、プログラミングの仕事をする場合、その言語やフレームワークを学ぶためには一定の学習期間が必要ですが、ギグワーカーはその期間を確保することができないため、スキルアップに時間をかけることができない場合があります。
単発の仕事では、長期的な目標やキャリアアップの機会が少なく、スキルアップに繋がるような研修やトレーニングを受けることも少ないです。そのため、長期的にキャリアアップを目指す方にとっては、ギグワークはあくまで一時的な収入源に過ぎない場合もあります。
労働条件が悪いこと
ギグワークに従事する場合、正社員と比較して、労働条件が悪いことが多いとされています。
例えば、時給が低い、長時間労働が求められる、福利厚生がないなどが挙げられます。仕事量が多すぎる、クライアントからの指示が不適切である、報酬が不当である、などの問題がある場合もあります。
ギグワークは、フリーランスや副業の形態が多いため、法律で定められている労働条件が適用されないことがあります。そのため、不適切な労働条件になってしまうことがあります。
特に、新しいギグワークのプラットフォームが登場し、新たな働き方が生まれる中で、労働条件に関する法律や規制が追いついていないという問題もあります。
これらの問題は、自己責任であることや、市場原理によって解決されることが期待されていることが一因とされています。しかし、適正な労働条件が整備されていないことが問題となり、労働者の権利や健康に悪影響を与えることがあるため、今後の改善が求められています。
ギグワークに取り組む際の注意点
ギグワークは、自由度の高い働き方であり、多くの人にとって魅力的な働き方です。しかし、注意点や問題点もあるため、事前に十分に把握しておくことが重要です。
労働条件が不利な場合がある
ギグワークは単発の仕事が多いため、仕事の条件や報酬が不利な場合があることが注意点です。自己アピールやスキルアップにつながる仕事を探すことができれば問題ありませんが、安易に仕事を受けてしまうと労働条件が不利であることもあります。
収入が不安定である
ギグワークは仕事の受注状況によって収入が不安定であることも注意点です。給料の前払い制度がないなど、支払いが遅れた場合には生活費のやりくりにも注意が必要です。
自己責任が大きい
ギグワークは、雇用契約がないため、万が一問題が発生した場合には自己責任となることが問題点です。健康保険や年金などの社会保険が自己負担となるため、収入に余裕がない場合には負担が大きくなることもあります。
会社の副業OKの確認が必要
ギグワークは副業として取り組むことができるため、会社の副業OKの確認が必要です。会社によっては禁止されている場合があるため、確認を怠るとトラブルにつながることがあります。また、仕事の内容が競合する場合や、仕事で得た知識や情報を持ち出すことが禁止されている場合もあります。
求人倍率は2.35倍
多様な働き方の調査研究機関「ツナグ働き方研究所」は、スポットワーク市場を定点観測する「スポットワークマーケットデータレポート」を毎月発表してます。
スポットワークとは、短期間での単発・短時間の雇用を指します。その中でも、雇用契約を結ばない「ギグワーク」と、単期雇用契約を結ぶ「単発バイト」に分類されます。ギグワークには、ウーバーイーツ配達員などが代表的な例として挙げられます。
また、スポットワーカーの平均時給は1,192円で、2か月連続で通常アルバイト平均時給を上回りました。
※スポットワークマーケットデータレポート
広がりを見せるスポットワーク市場を可視化し、有益なトピックや内在する課題を報告しています。
自分に合った働き方を見つけよう!
ギグワークは、自分の時間を有効活用できたり、必要な時に働いてすぐにお給料をもらえるなど、多くの魅力があります。
新しい働き方にチャレンジしたい人にとっては、大きなメリットを感じるかもしれません。ただし、収入が安定しなかったり、トラブル発生時には自己責任になってしまうなど、デメリットもあることを忘れないでおきましょう。
自分に合った働き方を見つけるためにも、メリット・デメリットを理解することが大切です。
出典:
単発、短時間、短期間で働くスポットワークの求人倍率は2.35倍 スポットワーカー平均時給は1,192円、2か月連続で通常バイト時給を上回る
ギグワークとは? 急増する「自由な働き方」の実際と今後の課題