サラリーマンへの回帰で気づいた集中の危うさ |家事育児から広げるキャリア #04

サラリーマンへの回帰で気づいた集中の危うさ |家事育児から広げるキャリア #04
2021年12月2日

【正社員のメリットとデメリット】
主夫(婦)こそがパラレルキャリア |家事育児から広げるキャリア #02 で書いた保育士資格の取得が活かされる時がやってきました。

2004年から家事育児主夫を中心に生活し、主夫になって3年後の2007年に保育士資格を取得しました。そのさらに10年後に転機がやってきます。知り合いのご縁をいただいて、2017年から小規模保育園の園長として務めることになりました。保育士資格を取得していなければ縁のなかった仕事です。

2017年は子ども子育て支援新制度がはじまり、日本中に小規模保育園が増えた年。立場としてはフルタイムのサラリーマンで施設の管理者。副業をしながらではなかなか難しい立場でした。それまでの地域ボランティやNPO活動は一旦お休みにして、園長という仕事に集中しました。

しかしひとつの仕事に集中することで、私の自我は小さく小さくなっていったのです。

和田のりあき さん|マジックパパ代表

「子どもがワクワクする大人になる!」が合言葉。小四からマジックを独学。学生時代にはマジック道具の実演販売アルバイトでNo1の売り上げを記録。TVプロダクションに就職し報道カメラマンに。和歌山毒物カレー事件などで密着取材をする。子どもの誕生をきっかけに主夫になり2人娘を育てる。保育士資格を取得し、NPO法人ファザーリング・ジャパン関西理事長、保育園園長を経てマジックパパを起業。10年間で500回の子育て講座やイベントを開催。 和田さんプロフィール

波多楽くん
波多楽くん

キャリアノヒント特別連載。マジックパパ代表の和田のりあきさん「家事育児から広げるキャリア」第4回目です♪

正社員に戻ったタイミング

今回のテーマはとても書きにくい。なぜなら私が企業の正社員という立場に戻りきれなかった経験を書くからです。

企業の正社員という立場で働いている方は多数派ですし、企業の状況もその企業で働く立場も様々です。私が辞めた立場を現在もつづけている仲間や知り合いもいらっしゃる。

企業やそれぞれの立場で働かれている立場を否定する意図はないこと。あくまでも自分の経験として書くということ。キャリアの選択肢を広げるという意図であること。この3点を前提としてお伝えしておいて記事を続けます。

人生、タイミングも重要です。お話をいただいた2017年は末の娘が小学4年生(高学年)になる年で、子育てがひと段落のタイミングだったのです。

NPOを通した知り合いから繋いでいただいた小規模とはいえ保育園の園長という重大な仕事。かねてから興味のあった保育の現場。月収も安定していてボーナスもある。

42歳の男性としては過不足ない立場と収入が得られる仕事でした。私は社会人をイチからやり直すつもりで施設長の職につきました。

地域活動を休んでみたけれど

園長になるにあたって、自分の役割を整理しました。まずPTAや地域ボランティアなどを一旦お休みしました。

そして少ないながら活動報酬があり、土日が活動の中心だったNPO法人ファザーリング・ジャパン関西の理事も辞しました。

平日と隔週で土曜日、フルタイムで働いていてさらに週末をNPO活動に割くと自分が持たなくなります。さらに子育てが一段落したとはいえ、家事育児の役割はまだまだある。なので一度、園長と家庭以外の役割からすっぱりと降りてみようと思ったのです。

それも永遠に降りるつもりはなく、NPO活動や地域ボランティアは園長職に慣れたらまたぼちぼちと再開するつもりでした。家事も洗濯を娘たちに受けもてらうことにしました。

その意味で中学生と小学高学年の姉妹は十分な戦力でした。そうやって万全の体制をとったつもりで私は正社員という立場に復帰しました。

保育園の園長とはいえ、企業の一社員。本社と現場の調整をする中間管理職です。それまでは主夫として家事を主担当し、NPO活動や地域ボランティアで得た体験や考えを自由に発信していました。

しかし、一保育園の園長という立場ではSNSなどで気軽に自分の考えや体験を発信することが難しくなりました。

正社員、そして中間管理職の立場は、立場と収入が安定するかわりにとても窮屈な立場だと私は感じました。

園長を辞めた理由

窮屈なのはある程度覚悟していました。自分の考えを気楽に発信できなくなることも想定はしていました。それらを踏まえても保育園の延長はやりがいのある仕事だと。

でも、それら以上にしんどかったことがありました。それは本社と現場との仲立ちです。営利企業である本社の方針と、福祉の現場で働く保育士、さらに預かっている子どもたち。それぞれの利益はぶつかり合います。

結局、私は本社と対立をするような形になってしまい、小規模保育園の園長職は1年2ヶ月で辞することになりました。

そのあとすぐに別の企業主導型保育園の副施設長に迎えていただきました。そちらでも園長と職員の間の調整役としての役割を求められました。

人と人との間に入って意思疎通の手助けをする、私の能力を求めていただくのはとてもありがたかったです。でも、そこでも私自身の考えは発信しにくかった。

企業主導型保育園も10ヶ月で辞することになり、私の正社員への復帰は2つの保育園園を合わせて丸2年で終了しました。

立場は複数あった方がいい

結果的に退職することにはなりましたが、決して私を雇用してくださった2社を否定するつもりはありません。私が管理職の立場に耐えられなくなったというのが退職の理由です。

振り返ってみると、小規模保育園の園長職を引き受けた時に、気合を入れすぎた、集中しすぎたかもしれないと思います。

もう少し気楽に、NPOや地域活動も続けながら園長を務めていれば、もっと長続きしたのかもしれません。

園長をしていた当時は、その立場と役割に集中しすぎてしまい、逃げ場がなかったのです。他の役割との両立が可能だったのかはわかりませんが、自身の心構えとしてそれくらいの気持ちのほうがよかったのかもしれないということです。

正社員に戻って一番感じたことは、それまで主夫としての家事育児の他にになっていたNPOや地域での活動が、いかに自分の承認の場になっていたかということ。そしてSNSなどで自分の考えを自由に発信できる立場がいかに貴重なものであるかということです。

一つの立場に大きな比重をかけるよりも、複数の立場を持った方がいい。それは人生のリスクヘッジにもなりますし、人生の喜びを増やすことでもあります。

波多楽くん
波多楽くん

次回のテーマは「フリーランスは「組み合わせ」」。お楽しみに♪