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絵本と福祉のパラレルキャリア|水上雄二さん(前編)【キャリアノヒント|ストーリー】

絵本と福祉のパラレルキャリア|水上雄二さん(前編)【キャリアノヒント|ストーリー】
2022年6月17日

人生100年時代となり「キャリアは自己責任の時代」などと言われるようになりました。終身雇用制度の崩壊や多様な働き方を推進する働き方改革など、労働環境も大きな転換期を迎えています。

リクナビが以前に実施した調査では、転職活動をしたことがある人は6割以上、40代では8割を超えるという結果になるなど、転職が当たり前な社会となるなかで、自身のキャリアに責任を持ち計画・行動することを難しく感じる人も大勢いるのではないでしょうか。

今回は、絵本ソムリエ兼社会福祉士として活動する水上雄二さんにお話を伺いました。

波多楽くん
波多楽くん

【キャリアノヒント】水上雄二さんのストーリー。前編です!

水上 雄二 さん

絵本ソムリエ兼社会福祉士。1日1冊絵本を読み、1記事アメブロにて「気づきがある絵本の紹介」を執筆。7年目に到達して、2500冊を超える絵本を読む。その経験から絵本製作、絵本遺言、絵本選書などに取り組む。また長年の福祉分野(児童、高齢、障害)で培った現場力とアセスメント、対話力、メンタルダウンした自身の経験を活かし、障害者雇用分野の就労移行スタッフとしても活動。

これからの働き方やキャリアを考えるためのヒントを探ります。

経験を活かして自分ならではの活動がしたい

今の仕事について教えてください。

  • 水上さん

絵本の活動としては、1日1冊1記事をアメブロで「気づきがある絵本」として紹介しています。たくさんの絵本を読んできた経験を活かすことで自分ならではの活動が出来ればと思っています。

7年間で約2500冊の絵本を読んできました。この経験から絵本の選書サービスをしています。相手の話を聞いて手立てを考えるといった社会福祉士に求められる経験を絵本の活動に活かしています。

さらには、いくつもの絵本にふれてきて、構成、設定、話の進め方など絵本にたくさんふれてきたので、絵本製作にも取り組んでいます。ストーリー作成や構成は自分自身で担当し、絵を描くという苦手な作業は絵本作家さんに依頼して、お互いに意見も出しあいながら作品作りを進めています。

他にも、絵本を使い優しく遺言を伝えるという「絵本遺言」というサービスの紹介をしています。

社会福祉士としてはどのような活動をされていますか?

  • 水上さん

障害者雇用分野の就労移行スタッフとして働いています。就労移行支援事業所という福祉業態のひとつで、障害をお持ちの方が将来の就職を目指して2年間の期限付きで就職訓練をする場所です。

ワードやエクセルを用いた入力業務の訓練といったPCスキルの向上はもちろん、報連相のようなコミュニケーション、安定した出退勤など、日々の業務を振り返りながら、働くための力を身に着けるための訓練を行います。

勤務先の事業所はテレワークを取り入れていることが特徴です。僕もそこで利用者の方をリモートでサポートしています。就職先との接点づくりも担当しています。

絵本と福祉

絵本の活動を始めたきっかけは?

  • 水上さん

福祉の仕事を通じて介護者側の支援に必要性を感じたころ「だいじょうぶ!よネコさん」という絵本とその作家である国栖晶子に出会ったことが一番のきっかけです。

福祉分野の現状に問題意識をもっていた頃、国栖さんの個展に行きました。支援する側が気をつけることや視点、介護側の気持ちや捉え方に共感して、そこから絵本の世界へと導かれて行きました。

当時、児童デイの立ち上げスタッフとして働いていました。スタッフが子供たちに絵本の読み聞かせをしていたこともあり、あまり絵本の事を知らなかったので、業務的にも絵本のことを知りたいなと思っていました。

いま振り返ると、子供たちに色んな世界の視点を持ってほしかったというのもあると思います。僕自身、視点が少なくて、考えるということがあまり出来ていなかったため、のちの人生の歯車がおかしな方向へと進んだんじゃないかと感じます。

僕は大人になり絵本の魅力に気づきました。だから、大人の人にこそ絵本の良さを知ってほしいと思えるのかもしれません。

福祉分野のお仕事に長く関わってこられたんですね。

  • 水上さん

生活支援、ガイドヘルパー外出支援、入所支援などを含めた、子供、障害、高齢者の3分野での経験として15年近く関わっています。

障害者の就労支援の分野で働き始めた時期は、2年前に社会福祉士の資格を活かした研修を受けていたころです。その後、いまの事業所で働き始め1年を過ぎたところです。

23歳の時にメンタルダウンを経験したのですが、自身で施設を利用したり制度を利用してきたことから障害者の方の就労をサポートするスキルを磨き、当事者の視点からも力が発揮できる仕事だと思っています。

絵本の活動では、イベントや絵本セレクトサービスを提供されている

自分の立場やできることを明確にする

仕事を始めるうえで不安を感じることはありましたか?

  • 水上さん

障害者就労移行支援では、求められるスキル、知識はたくさんあります。自分にこなせるのか?特にパソコン関連の技術を教えるためには、スキルをまだまだ伸ばしていく必要があると自覚したので不安でした。

絵本の活動では、絵本セレクトサービスに取り組んでおり、仕組み作りでまだまだ不安なところがあります。絵本製作も最初は絵を描く力が弱いので、しっかりした作品作りには携われないと思っていました。

どのようにして不安を乗り越えたのでしょうか?

  • 水上さん

自分の立場を明確にして、職場の方や一緒に仕事を進める方と等身大で話し合い、自分が任せられた範囲、担える範囲を理解する事が大切だと思います。

自分が担当できることを明確に理解して、どんな事を求められているのか、こちらの現状を踏まえて話し合っておくことで、わからない場合は他の方から教えてもらえばよいと考えると不安も軽くなりました。

絵本製作だと、自分はストーリーや構成について担当して、絵は絵本作家さんで好みの絵を描いてくれる方にお任せしています。たくさんの絵本を読んできたことで、構成力には自信が持てるようになっていました。

まとめ

水上さんは、絵本と福祉の分野で活動を広げています。いずれも自身の経験から気づき学んだことを活かして取り組まれています。

昔は視点が少なく考えることがあまり出来ていなかったという思いから、いまは多くのことにチャレンジを続け、素直な視点で学び、成長を続けられているように思います。

次回のは、水上さんの働き方についてお話を伺います。

波多楽くん
波多楽くん

後編に続きます!