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テレワークの効果と課題について(“ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現”より)

テレワークの効果と課題について(“ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現”より)
2022年2月3日

2020年、新型コロナウィルス感染症の拡大により多くの企業や団体でテレワークの導入が進みました。そして2022年現在、テレワークは特別な働き方から、多くの企業や団体で日常的な働き方へと変化しています。

反面、短期的なテレワークの導入により、コミュニケーション不足やマネジメントの難しさなどから生産性が低下するという課題も表面化しています。

新型コロナの感染者数が抑えらている状態では、テレワークをやめ、出社勤務に戻している企業も少なくありません。

これからの働き方のテーマはさまざまですが、場所にとらわれずに働ける環境づくりによって、たくさんの人が働く機会と力を発揮できる環境を手に入れることができると思います。

2021年8月「ポストコロナ」時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース(以下、検討タスクフォース)が提言書を提出しています。

今回はこの提言書をチェックしながら、テレワークを浸透させるための施策や行政の活動、働き手としてテレワークへの取り組み方を考えてみたいと思います。

波多楽くん
波多楽くん

全ての仕事をテレワークにはできませんが、テレワークによって働き方の選択肢は広がるはずです!

テレワークとは?

さて、そもそもテレワークとはどのような働き方でしょう。

自宅で働くこと?自宅に関わらずオフィス以外の場所でリモートで仕事をすること?というようなイメージでしょうか。

日本テレワーク協会ではテレワークは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語であり、『情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと』としています。

さらに提言書では、テレワークとは職場以外の「場所」で働くことに着目した考え方ではなく、ICT を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方として、急速に進む少子高齢化や生産年齢人口の減少など、社会の大きな変化によって生じる、日本のさまざまな課題を解決することができるものとしています。

テレワークは流行っては廃れてきた

これまでも、新型インフルエンザの流行や東日本大震災の後など、テレワークに注目があるまり、実施率やメディアでの露出が高まったいましたが、制度があっても利用している人は少ない状況でした。

コロナ禍においても継続してテレワークを希望する人は多い状況のなか、中高年層を中心とする管理職の間では、同じ場所と時間を共有する「大部屋主義」「対面主義」「暗黙知」等のメリットに重視した、テレワークへの不信感(バイアス)が根強く残っています。

緊急事態宣言化では準備が不十分のままテレワークを導入した結果、生産性が低下していると感じる人も多くいます。このことはテレワークの課題としてあげられており、なし崩し的に出社が増え、これまでと同様テレワークが定着しない可能性も高いと考えられます。

日本型テレワークのポイント

ドイツでは自国の働き方や歴史を踏まえ、ドイツなりのテレワークの普及に成功しています。

提言書では、他国の仕組みをそのまま持ってくるのではなく日本の働き方等をベースに、独自のやり方を模索することが効果的との考えから日本型テレワークを整理しています。

1. 日本の様々な社会課題の解決に寄与
・急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少等の課題に対応
・時間あたり生産性の向上

2. テレワークを契機とした ICT ツールの積極的な活用、BPR、DXの推進
・情報を共有しているという感覚や一体感の醸成、インフォーマルなコミュニケーションを促進する場をバーチャルに補完
・日本型の働き方の「強み」をより活かす
・心理的安全性の強化

3. ソーシャリゼーションへの配慮
・育成期においては一律テレワークではなく、対面機会を計画的に設ける工夫

4. 世代間ギャップを埋めるための工夫
・無駄な出社への同調圧力の排除
・企業レベルでテレワークに係るビジョンを策定
・組織の風通しを良くするための組織開発/コミュニケーション促進施策の実施

5. ウェルビーイングの向上
・個人単位のウェルビーイングに加え、組織による協働的なウェルビーイング

提言書より

テレワークを積極的に導入するために必要なこと

流行り廃りを繰り返してきたテレワーク。日本型テレワークとして積極的に導入を進めるには何が必要なのでしょうか?

テレワークの導入/定着に向けたICTの活用

テレワーク導入の主な課題は3点。

テレワークできない業種・職種であること

以前はテレワークで対応可能な仕事は限定的であったが、現在はさまざまなテクノロジーを徹底的に活用することにより、物理的なオフィスを共有しなくても、デスクトップ上で仮想的な職場を再現することができる。

オフィスワークであればほとんどの業務がテレワークで対応できると言えるでしょう。

通信環境やセキュリティなどインフラにかかる課題

日本全体では、新たなICTツールの活用が遅れている傾向がありますが、情報子会社などのテクノロジーに先進的な企業では、グループウェアやコミュニケーションツールの導入がある程度進んでいます。

次のステップとして、人事管理(勤怠管理、給与、マネジメント)や電子決裁・押印・契約、経費精算等の業務にICT ツールを導入する動きが見られています。

また今後は、ウェアラブル端末等を用いて従業員の(メンタル)ヘルスケアを通じて、ウェルビーイングを向上させていくようなサービスの普及も予想されます。

マネジメントやコミュニケーションに係る課題

その時々に応じて、各従業員が出社とテレワークを使い分けることで発生する「まだらテレワーク 」と言えるような状態が続いていくことが予想されます。

テレワークで働く社員も出社する社員もコミュニケーションが可能となるような場を意識的に設けていくことが必要になります。例えば、バーチャルオフィスのようなツールの導入を積極的に図っていくことが有効です。

企業・団体が主体的に取り組むための仕組み

経営者は業績にプラスになると認識すれば、もちろんテレワークを導入するでしょう。

規模や置かれている環境によって経営判断の基準はさまざまですが、テレワークだけではなく、DXの推進、柔軟で効率的な働き方やワークライフバランスの実現、従業員のウェルビーイングの向上、優秀な人材の確保と離職率の低下、業務継続性の確保など、一体的な取組として評価していくことが重要です。

特に、柔軟な働き方を推進する職場に人気が集まる傾向から、テレワークの推進は、企業の継続的な人材確保においても非常に有効な施策と言えるでしょう。

こんなにある!既存のテレワーク関連施策

テレワークに関する施策が多数展開されており、それらを発信する Web サイトがすでに存在していますが、情報量が多くわかりにくさも指摘されています。関係府省も巻き込んだ形で、利用者の利便性を第一に考えた施策を設計していくことが課題になっています。

主な施策

総務省

2015 年頃から、ICTの利活用促進という観点から、テレワークに係る先進的取組を実施する企業に対する表彰、サテライトオフィス整備支援、テレワークの導入・改善を検討する企業・団体に対するテレワークマネージャーによる個別無料相談等を実施。

厚生労働省

労務管理の観点からテレワークの相談事業を実施。

その他、他府省

地方創生テレワーク」や「ワーケーション」に係る施策

検討タスクフォースのミッション

「テレワークだとだめだ」という先入観を払拭し、テレワーク本来の良さを伝え、良質なテレワークの普及に向けた検討を行うことが、検討タスクフォースのミッションとして挙げられています。

提言書に記載がある通り、個人個人の業務を明確化することだけでなく、テレワークでも適切なコミュニケーションをとることで、パフォーマンスを最大化していくことができるはずです。

従来の日本型の働き方の良さである「チームワーク」により、企業全体、社会全体の生産性の向上にも結びついていくでしょう。

ワークインライフ

検討タスクフォースの議論の根底には、『働くことが個人やチームのウェルビーイングに繋がるべきだという強い考え』があったと言います。

さらに「ワークライフバランス」という言葉は、 『ワーク中心で人生というものを考えるニュアンス』であるため、人生を中心としてその中に仕事があるという『ワークインライフ』という言葉が使われています。

総務省が中心となって進める検討タスクフォースの提言の中で、「ウェルビーイング」や「ワークインライフ」の大切さが述べられていることに意外な感じを受けました。

ICTツールが進化していくことで、テレワークだけでなく働き方や人との関係性、コミュニケーションは大きく変わっていくと思います。

どれだけ便利になり生産性が高まったとしても、持続可能な社会を目指していく現在では、働く人の幸せや満足度が高まっていかなければ、企業/組織としての価値を提供し続けることは難しくなっていくのではないでしょうか。

出典:
提言書「ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現~個人・企業・社会全体のウェルビーイングを目指して~」

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