チーム力を高めるリフレーミング！コミュニケーションと思考を変える具体策とは？

組織の力は、個々の能力だけではなく、チームの連携や問題解決能力によって大きく決まります。リフレーミングは、視点を変えることで新しい解決策やアイデアを生み出す手段です。リフレーミングによって、コミュニケーションや問題解決能力を高めることができます。

さらに、ワークショップなどを組み合わせることで、自分自身と他者の間の認識の違いを明らかにし、チーム内の理解を深めることができます。今回は、リフレーミングの解説とともに、協調性と対話に満ちた環境を築き、チームの可能性を広げるヒントを紹介します。

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リフレーミングとは？

リフレーミングは、視点を転換し、固定観念にとらわれない柔軟な思考を促す手法です。主にコミュニケーション心理学（NLP）で用いられ、困難な状況や挑戦を新しい角度から捉え、感情や反応を変化させることを目的としています。

リフレーミングの効果

困難な状況や挑戦を、リフレーミングによって新しい角度から捉えることができ、感情や反応を変化させることが可能です。

たとえば、締切が迫った厳しいプロジェクトを、ストレスの原因とするのではなく、メンバーの能力を証明する機会と捉え直すことで、チームのモチベーションと集中力を高めることができます。

リフレーミングの実践的な活用

リフレーミングは、個人や組織がより効果的な問題解決や意思決定を行うための重要な手法です。また、メンバー間の相互理解と協力を深め、より協調性のあるチーム環境を構築することにも寄与します。

ワークショップや、コミュニケーション改善のためのリフレーミングの導入などによって、チームは新たな視点で問題を捉え、創造的かつ効果的な解決策を見出すことができます。

リフレーミングとポジティブシンキングの違い

リフレーミングとポジティブシンキングは、ともに肯定的な視点から物事を捉える点で似ていますが、アプローチには重要な違いがあります。

ポジティブシンキングは、ネガティブな状況や感情を積極的に肯定的なものに変換しようとする思考法です。リフレーミングは、物事の捉え方や考え方の枠組み自体を変え、状況や問題を根本から異なる角度で解釈することを目的としています。

リフレーミングは、単にポジティブな見方をするのではなく、問題をより深く、多角的に分析して前向きな変化を促すプロセスと言えます。

リフレーミングの例

リフレーミングにより視点を変え、問題の捉え方やコミュニケーションのスタイルを変えることができます。

日常生活での具体例

リフレーミングを日常生活に取り入れることで、ストレスの感じ方や人間関係の質を改善し、より充実した生活を送ることができます。

例えば、家庭内で意見が合わなかった際、「家族間の葛藤」と捉えるのではなく、「互いを理解し合う貴重な機会」と考えることで、家族関係の深まりを感じることができます。

また、趣味や娯楽を楽しむ中で予期せぬ問題に直面した時も「運が悪い」と思うのではなく、「新たな楽しみを見つける機会」と捉え直すことで、創造性を高めることができます。

ビジネスシーンでの具体例

リフレーミングを用いることで、チームのモチベーション向上や生産性の向上、さらには顧客満足度の向上に寄与することが可能です。

顧客サービスにおいて、クレームを単なる顧客の不満と捉えるのではなく、「サービスの改善点を発見する機会」と考えることで、顧客の信頼を得られるサービスへと成長させることができます。

IT分野などで新しい技術に取り組む際にも、「習得が難しい」という不安を「新たなスキルを獲得して市場価値を高めるチャンス」と捉えることで、前向きに挑戦する姿勢を保つことができます。

教育シーンでの具体例

教育現場におけるリフレーミングは、学生の学習意欲の向上やクリエイティブな思考の促進に役立ちます。

初等教育において子供が困難な課題に直面した時、「できない」と落胆するのではなく、「新しいことを学ぶ楽しいチャンス」と感じることで、学習への好奇心を刺激できます。

中等教育や高等教育においても、グループでのプロジェクト作業で意見の相違が生じた際に、「対立」ではなく、「多様な観点から問題を深掘りする機会」と考えることで、批判的思考力や協調性を育むことができます。

リフレーミングのメリット

組織の力を最大限に引き出すには、チーム一丸となって目標に向かうことが不可欠です。リフレーミングは、このような組織の目標達成において、重要な役割を果たす思考法です。

モチベーションを再燃させる

リフレーミングにより、日常に潜む様々な状況や出来事を新しい視点から捉えることができます。たとえば、厳しいプロジェクトの期限は、重圧ではなく、自身のスキルを証明する機会と見なすことができます。この視点の転換は、個々のモチベーションを高め、チーム全体の活気を再燃させる原動力となります。

さらに、この方法は、個人の成長と自己実現を促進し、チームの目標達成へ向けた熱意を引き出す効果があります。マネージャーとしては、この視点をチームに伝え、プロジェクトの期限を共に乗り越えるチャレンジとして位置づけることで、全員のエネルギーを最大限に引き出すことが可能です。

コミュニケーションの壁を破る

リフレーミングは、コミュニケーションの質を大きく向上させます。特に、意見の相違や誤解が生じやすい場面で、リフレーミングを通じて相手の立場や視点を理解することは、誤解を解消し、相互理解を深めるのに役立ちます。

例えば、チームメンバーが提案したアイデアを単に「実現不可能」と断じるのではなく、「新しい視点からアプローチするとどのような可能性があるか」を一緒に探求することで、より創造的で建設的な会話を促進することができます。

このような肯定的な言葉選びと積極的なフィードバックによって、チーム内の関係を強化し、より健全で生産的な対話を促進します。

問題を新しい視点で見る

リフレーミングを実践することで、困難や課題を新たな角度から見直すことができます。これにより、従来の方法では解決できなかった問題に対して、革新的な解決策を見出すことが可能になります。

例えば、チームが目標達成に向けて停滞している状況を「困難」と捉えるのではなく、「チームの能力を再評価し、新たな戦略を模索する機会」とみなすことで、チーム全体の視点を転換し、新しいアイデアやアプローチを生み出すことができます。

この思考法は、チームが直面する様々な課題に対して柔軟かつ創造的なアプローチを促し、組織の問題解決能力を全体的に高める効果をもたらします。

コミュニケーションにリフレーミングを活用する

リフレーミングは、特定の状況を新しい視点から見ることで、チームのコミュニケーションや協働を効果的に改善します。特に、厳しい状況や困難に直面した際に、チームメンバーの思考や態度を前向きに変えるのに役立ちます。

プロジェクトが失敗している時

プロジェクトの失敗は、チームのモチベーションや自信に影響を及ぼしますが、ここでリフレーミングを用いれば状況を一転させることができます。失敗を「終末点」と捉えるのではなく、「学習と成長の起点」と見なすことが重要です。

具体的には、失敗から得られた教訓を振り返り、それらを文書化して次のプロジェクトの改善点として活用します。このプロセスを通じて、チームは失敗から回復し、より強固な結束力を築くことができます。

チーム内が衝突している時

チーム内で意見が衝突することは、多様な視点やアイデアがある証です。衝突を「問題」と捉えるのではなく、「多様性の宝庫」と見なすことで、チームは新たな成長の機会を得ることができます。衝突から生まれるアイデアを積極的に受け入れ、異なる意見を持つメンバー間で建設的な対話を促進します。

また、相手の立場を理解し、互いに学び合う姿勢を持つことで、チームはより包括的な解決策を見つけ出すことができます。

新たなプロジェクトが始まる時

新しいプロジェクトを始める際には、リフレーミングを用いてチームに新たなエネルギーを注入しましょう。不確実性や未知の状況は、「リスク」ではなく、「新しい可能性」と捉えます。この視点から、チームは既存の枠を超えたアイデアや戦略を探求し、新たなチャレンジに自信を持って取り組むことができます。

また、過去の成功体験を参考にしつつ、それを現在の状況に適用し、チームの能力や知識を最大限に活用します。これにより、チームは新しいプロジェクトに取り組む際の不安を克服し、創造性や生産性を高めることができます。

リフレーミングを取り入れる方法

リフレーミングにより、思考の枠を広げることで、個人や組織が持っている力を引き出してくれます。

成長の機会と捉える

直面する課題や困難を、挑戦や成長の機会と捉えることはリフレーミングの基本です。

たとえば、予算削減に直面した際に「イノベーションのチャンス」と考え、コストを削減しながら品質を改善するような創造的なソリューションを生み出した例は、リフレーミングの代表的な例です。

このように、日々の挑戦を成長の糧として捉えることで、ポジティブな変化を引き出し、自己実現へと繋げることができます。

ゴール設定に活用する

目標設定の過程においてリフレーミングを活用することで、困難な状況を乗り越え、新たな目標達成の道を切り開くことができます。

例えば、「目標達成が困難」と感じる状況を「達成のための戦略を再考する良い機会」と捉えることで、新たなアプローチや解決策を発見するきっかけを作り出すことができます。

特に、逆境に直面した際にリフレーミングを行うことで、不可能に思えた目標が実現可能なものとして捉え直すこともできます。

セルフ・リフレクションとして

内省や自己評価の過程でリフレーミングを取り入れることで、自分自身の行動や考え方に対して新たな理解を得ることができます。

例えば、失敗を単なるネガティブな結果と捉えるのではなく、「重要な学びと成長の源」として捉えることで、次の行動に向けてのポジティブなエネルギーを生み出すことができます。この過程では、セルフ・リフレクションのためのリフレーミングノートなどを活用して、自分自身の成長を記録し、自己理解を深めることが有効です。

組織におけるコミュニケーションでの活用

組織内でのコミュニケーションにリフレーミングを活用することで、メンバー間の理解と協力が促進されます。

例えば、「意見の相違」を「多様性の表れ」と捉え直し、異なる視点やアイデアを組織の強みとして活かすことができます。

ワークショップなどを実施して、チームメンバーの自己理解と相互理解を促進することでチームのパフォーマンスも向上します。組織内のコミュニケーションにリフレーミングを活用することで、チームの結束力を強化し組織全体の成長を促進します。

リフレーミングの実践

ここでは、リフレーミングを実践する二つの方法として、「リフレーミングノート」と「ジョハリの窓」を紹介します。

実践①：リフレーミングノート

リフレーミングノートは、自己認識を改善し、ポジティブな自己イメージを構築するための実践的なツールです。以下の手順に従って、リフレーミングノートを作成し、活用する方法をご紹介します。

リフレーミングノートの準備
まずはノートを用意し、二つの枠に分けます。左側には「リフレーミング前」、右側には「リフレーミング後」というラベルを付けます。
自己認識の記録
左側の枠には、自分についての否定的または改善が必要だと感じる特徴をリストアップします。例えば、「決断が遅い」「頑固」といった点です。
リフレーミングの適用
右側の枠では、左側の特徴を別の視点から捉え直し、ポジティブな特徴に変換して記録します。例えば、「決断が遅い」を「慎重に判断することでリスクを避ける」と捉えたり、「頑固」を「一貫した価値観を持っている」と見なすことができます。

ワークシートの例

このワークシートの作成を通じて、自己認識をポジティブなものに変え、新たな行動へと繋がるインサイトを得ることができます。

出典：リフレーミングとは？練習方法を徹底解説。具体例や一覧も紹介
https://www.awarefy.com/coglabo/post/reframing

実践②：ジョハリの窓をリフレーミングに活用する

ジョハリの窓を用いたリフレーミングは、個人の自己認識と他者の視点を明確にし、自己理解とチーム内コミュニケーションの向上に役立ちます。

参加者の準備と用紙の用意
ジョハリの窓は、自分が認識している自己と他者が認識している自己の違いを元に、客観的に自己を理解できる自己分析方法です。効果を最大化するためには、3～4人の参加者が理想的です。各参加者には、性格特性や行動パターンを記入するための用紙を配布します。
自己認識の記入
参加者は、19の性格項目^※から自身に当てはまるものを全て選んで用紙に記入します。このプロセスでは、個人が自己認識を深めることができます。自分が記入した項目はプライベートな情報であるため、他者には見せないようにしてください。
他者の視点の収集
自分の特徴を記入した後、、他者の視点から自分を評価してもらいます。他の参加者の用紙に、その人に当てはまると思う19の性格項目を記入します。
4つの窓への分類
全員の用紙を集めた後、記入された項目を「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」の4つに分類します。この分類により、自己認識と他者の認識の違いを具体的に把握し、自己と他者との間の認識のギャップを明らかにすることができます。
フィードバックとディスカッション
最後に、分類した結果をもとにフィードバックを行い、参加者同士でディスカッションを展開します。まずは、自分自身でチェックし、自己認識と他者の認識の違いを考察します。その後、グループ内で集計結果を共有し、相互の理解を深めるためのディスカッションを行います。