20代・30代のころ猛烈に働いてきた方の中には、40代になりこのまま会社で仕事を続けていけるか、将来の展望が描けないという方もいます。さらに、仕事のスキルが上がると、独立や起業も視野に入ってくるかもしれません。
起業を成功させるために必要なものはいくつかありますが、その一つがタイミングです。この記事では、タイミングの重要性や左右する要素、起業するのに最適な時期の見極め方、起業して事業を成功に導くパターンを取り上げます。
起業したい、会社を起そう!そう考えてはいるけど、時間ばかり過ぎていく。そんな悩みを持っている方も少なくないんじゃないでしょうか。
起業の成否を分けるタイミングと関連する環境要素
起業の成功を左右する要素の一つが、タイミングです。日本のことわざにも「好機逸すべからず」とあります。良い機会を逃すと次のチャンスがなかなかめぐってこないことを示す言葉ですが、これはビジネスや人間関係など幅広い分野にいえるかもしれません。
起業の成否を分けるタイミングは、実はさまざまな環境要素と結び付いています。ある業種や職業ではプラスに働いても、別の分野ではマイナスに影響することもあります。そのため、自身の仕事や業界の状況・傾向に照らし合わせて考えることが必要です。ここでは、比較的身近にあるミクロ環境と、自分の努力が及びにくいマクロ環境に分け、起業のタイミングに影響を与えやすい要素をピックアップしていきます。
ミクロの環境要素
ビジネスでターゲットとしている市場や顧客の状況が成功を左右するものとなります。多くの人が自分のかかわる市場に熱い期待を抱いており、サービスを受けたい顧客が多い時期の起業は、成功する確率が高くなります。
ライバルの存在も重要なポイントです。競合するライバル企業や事業者が、自分よりも質が高く、かつ価格が安いものを提供している場合、革新的なアイデアがない限り、そのタイミングで起業しても成果が得られないかもしれません。
起業する人の内部環境や事情も重要です。例えば、商品やサービスを買いたい場合、気に入ったもの、満足できるものに対価を払うはずです。逆にいうと、自分が望む商品やサービスを提供する環境が整っていない事業や企業にはチャンスが回ってこないということです。起業する場合、質の高い商品・サービスを提供できる環境を持っているかどうかは、成功を左右します。
マクロの環境要素
起業のタイミングに大きなインパクトを与えるのが経済状況です。景気が良いと消費者の購買意欲が旺盛で、生産や投資活動も活発になるので、好景気であることは起業の良いタイミングになるでしょう。国が主導する政策や法律の制定は、事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
自然災害やパンデミックなど、大多数の人を巻き込む出来事が事業の成否に大きく影響することは、2020年初頭から起きた新型コロナウイルスが拡大した例から理解できるに違いありません。
技術革新は、それまでの市場シェアを一変させることがあり、期待される分野で最先端の技術を持つ方にとって、願ってもない起業のタイミングとなるでしょう。社会情勢の変化や文化の栄枯盛衰は、新たなサービスが求められる時期で、起業のグッドタイミングとなりえます。
起業のタイミングとして最適な時とは?
今まで会社員として働いていて、これから起業しようとする場合、思い立ってすぐに行動するというよりも、最適なタイミングを計る方が多いに違いありません。では、起業するタイミングとして最適な時期はいつなのでしょうか。
顧客や売上の見込みが立った時
起業して、自分一人の責任でビジネスを展開するには、顧客や売上の見込みがカギになります。お金になる商品やサービスの目途が立ち、販売する当てがあるなど需要が見込めるときが起業のタイミングといえるでしょう。逆に、見込みもなく起業してしまうと、事業が軌道に乗るまでに資金ショートしてしまう可能性があります。こちらでいう「見込み」は、ぼんやりしたものではなく、事業計画をしっかり練り、自身が提供するものに対価を払いたい顧客がいることが前提になります。
提供する商品やサービスが世の中の時流にマッチしている
自身が提供する商品やサービスの需要が大きく、同業他社が少ないタイミングでの起業は成功しやすいといえます。経済の動きやトレンドは絶えず変化しています。日本のトレンドの中心は東京と考えられがちですが、日本は欧米から少し遅れたタイミングで海外のトレンドが開花するケースが目立ちます。国内に加え、海外の動向にアンテナを張っておくと、起業のタイミングを見極められるでしょう。
起業への補助金や助成金が設けられた時
起業して最も苦労するものの一つが、資金です。近年は、国や地方自治体が、起業人材を応援する動きが活発化し、補助金や助成金の機会が開かれているようです。補助金や助成金を得ることがすべてではないとはいえ、それらの募集時期に合わせて起業すると、資金面の不安は解消されるでしょう。資金に余裕があれば、心に余裕をもってビジネスを展開し、早まった判断や間違った決定を回避できるかもしれません。
起業しやすい業種や職種は?
起業にベストなタイミングについて取り上げましたが、起業しやすい業種や職種はあります。独立したりフリーランスで活躍するケースが目立つのが、IT業界です。
起業するタイミングだと感じても、必要な準備ができていないと軌道に乗らないばかりか、失速してしまう可能性があります。起業のタイミングを逸しないためにも、IT業界の特殊性を考え、前もって準備できることを理解しておきましょう。
起業を考えている方は、起業後に必要な資金を見積もり、あらかじめ用意しておくのがおすすめです。IT業界は、パソコン一台あれば仕事ができるケースも多いですが、安定した収入を得るまで時間がかかることがあります。その間、事業環境を維持し、最新の情報についていくにはお金が必要です。
一口にITの仕事といっても、職種により起業後の展開は異なってきます。プログラマやエンジニアは、一人でコツコツと行える仕事も多く、ニーズの高い技術や経験を持っているかどうかがカギになります。
対して、WEBディレクターやコンサルタントなど、技術とともに企業や人との信頼関係がものをいう職種の場合、業界の動向を把握しつつ、遅延なく業務を遂行するコミュニケーション力を磨き、業界内にコネクションを築いておくとよいでしょう。
起業のパターンはひとつではない
起業というと、会社を辞め、退路を断った形で仕事を行うイメージが強いですが、近年の起業の選択肢は広がっています。こちらでは、起業のパターンをWEBディレクターの実例を交えながら取り上げます。
会社員を続けながら、休日などの隙間時間で起業
フルタイムの形で起業を始めるのではなく、副業的にスタートする方法があるようです。スポット案件を受注し、自分のニーズを理解したり、クライアントの相性を見ながら短時間の起業を始めたWEBディレクターの例があります。週10時間程度の案件もあり、会社を退職せず、隙間時間を活用し、無理なく起業を始められます。
フリーランス案件を紹介するエージェントを利用して起業に踏み切る
会社を退職して起業する場合、フリーランス専門のエージェントを利用すると、仕事を確保しやすくなります。WEBディレクターの仕事は景気に左右されにくく、ニーズも高いので、案件は潤沢にあるようです。会社員のうちから登録しておくと、自分の市場価値を理解できますし、起業して仕事が不安定な時期に収入を得る手段になるでしょう。
ベンチャー企業に転職後に起業する
起業すると、業務の守備範囲が広がることが多く、大企業で細分化された役割しか担ってこなかった人は苦労するケースが見受けられます。そのため、起業に先立ち、受け持つ役割と責任が大きいベンチャー企業に転職し、起業の足掛かりにする人も多くなっています。仕事の範囲が広がることで、新しいキャリア構築に役立つだけでなく、自分の強みを見つけ、起業してからの単価アップにつながったと述べるWEBディレクターもいます。
会社員が起業するタイミングと事業を始めるにあたり必要なこと
起業が成功するかどうかは、タイミングがカギを握るといっても過言ではありません。さまざまな環境要素が絡みますが、起業に適したタイミングは、自分が提供する商品やサービスの売上の見込みが立ち、世の中でトレンドで、補助金や助成金などを活用できる時でしょう。
起業は、会社員を続けながら隙間時間を利用したり、フリーランス専門のエージェントを活用したり、事業を本格的に始める前にベンチャー企業に転職してから行うのもよい方法です。起業に先立ち、資金の準備や役立つスキルを身につけることも重要です。
起業を考えているという方は、独立するなら覚悟しておくべきことも押さえておきましょう!