聞く力がビジネスマンにとって必須のスキルになりつつあるように思います。
私は話すよりも聞いていることが多いタイプの人間。だからと言って「聞く力」が高いわけでなく、単に言葉を発する機会が少なく口下手なだけ。
初対面でも豊富な知識で話題提供できる話すことが上手な人にいまも憧れますが、オモシゴカフェを運営するようになり、聞くことの大切や価値の大きさを知りました。
ここでは、これまでオモシゴで学び実践してきた「聞く力」の価値について紹介したいと思います。
これからの働き方”をテーマに、気楽に話し合える場として運営しています。「教える」「教わる」という場ではなく、みなさんの意見や思ったことを言葉にして「話す」「聴く」ことで自分の中での気づきや学びを得ていただく、対話を大切にしています。ホストとゲストがこれからの働き方について自由に気楽に語り合います。
対話
オモシゴカフェでは、相手の抱える事情や背景に目を向け、その状況を理解した上で自分と共有できるポイントを見つけ出し、これまでとは違う眼差しで相手を認めることを、対話と呼んでいます。
「聞く力」とは
「聞く力」とは、相手に耳を傾け熱心に話を聞くことで、相手が話したいことや聞きたいことなどを引き出し理解する力のことを言います。
「傾聴力」とも呼ばれ、カウンセリングなどでも活用されているスキルです。
聞く力を高めることで、互いを理解し合い信頼関係を築くことができるようになり、さらに思考の癖など自身を客観視することで、自分の考えの間違いや誤解にも気づくことができる。オモシゴカフェを開催したことで、私はこのスキルの大切さを知りました。
座談会を開催して気づいた「聞く力」の価値
オモシゴカフェをスタートした理由は、「これからの働き方」をテーマのイベントに、どんな人が参加してくれるか、どんな課題や悩みを持っているのか、インタビュー調査のようにリアルな声を集めたいと思ったからでした。
聞く力の必要性、場づくりや座談会などの機会を作りたいと思っていたからではなく、ましてファシリテーションや傾聴に関する知識もありませんでした。
まずは、参加者の課題や悩み、参加理由など、相手の話をしっかりと聞こう、できるだけ本音を語ってもらえるように、自由にリラックスして、オープンに話してもらえる環境を作ろうと思い続けていくうちに、「とても良い場だった」と参加者からコメントをいただけるようになりました。
参加者が嬉しそうな顔で帰ってくれる。
初対面の参加者同士がすぐに打ち解けた仲になれる。
職場の環境や人間関係、熱意を持って働ける環境を作っていきたいと考えていた私は、「聞く力」はビジネスパーソンにとって重要なスキルだと思うようになりました。
「聞く力」を養うためのポイント
それでは「聞く力」を養うためにはどのようなことが必要なのでしょうか?
例えば傾聴力を高めるために、以下のようなことが必要だと言われます。
相手の目を見て話す
マイナビニュース
温和な表情を保つ
適度に相づちを打つ
話を途中で遮らない
相手の発言を言い換える
質問するときは5W1Hを意識する
相手の話を聞く姿勢として、これらはどれも基本であり大切なことだと思います。
その中で、オモシゴカフェで大切にしていたポイントを2つ紹介します。
ポイント①:「話す」「聞く」を大切にする
オモシゴカフェは、「教える」「教わる」という場ではなく、意見や思ったことを言葉にして、「話す」「聞く」ことで自分の中での気づきや学びを得ていただくことをコンセプトに運営しています。
自由にリラックスして、オープンに話してもらえる、そんな環境づくりにご協力いただくための約束事として、お願いしていることがあります。
- 相手の話をじっくり聞く
- 自分の言葉で語る
- フラットな立場で
- 結論を出すことを急がない
- 「ここだけの話」は本当に「ここだけ」
話しやすい、言葉に出しやすい雰囲気づくりのために、最初にお伝えしています。
気軽に話してもらうことを目的としたものでしたが、話を聞く側の姿勢としてのお願いでもあると、後々気づきました。
「聞く力」とは、相手が話したいことや聞きたいことなどを引き出し理解する力のこととお伝えしましたが、特に、「自分の言葉で語る」「フラットな立場で」「フラットな立場で」という、この3つのお願いは「相手のことを大切にする」「形式に拘らない」「耳を傾ける姿勢」、これらを育み自然と聞く力を養うことにつながっていました。
意図せず、オモシゴカフェでは参加者が「聞くこと」を大切にすることで、とても良い空間になっていました。
ポイント②:聞き方のフレームを活用
「質問するときは5W1Hを意識する」とあるように、聞き方のパターンやフレームがあると相手の話の理解が進み、質問が頭に浮かびやすくなります。
5W1Hも優れたフレームワークですが、ここではオモシゴカフェで実践していた「ソラ・アメ・カサ」のフレームワークを活用した聞き方を紹介します。
こんなときは報連相ではなく、「ソラ・アメ・カサ」を使うのです。これはマッキンゼーの日本オフィスが考えた思考のフレームワークですが、誰でも簡単に使いこなせます。
ダイヤモンドオンライン
例えば、このような出かける前のシーンを想像してみてください。
今日は家族で買い物。出かけようと玄関を出ると分厚い雲が空一面を覆っていた。天気予報は見ていなかったけど夕方には雨が降りそう。子供達が濡れて風邪をひいたら大変だから傘を持って行こう。
この中にはは【事実】【解釈】【行動】という3段階のプロセスが存在しています。
- 【事実】空(ソラ)を分厚い雲が空一面を覆っていた
- 【解釈】夕方には雨(アメ)が降りそうだ
- 【行動】傘(カサ)を持っていこう
比較的自由に発言できる場では、気づいたことや思っていたことなど【解釈】中心の話になることが多く、【解釈】だけでは前後関係がわからないため、「どうして?」「その後、どうしたの?」など、前後関係を深掘りする質問を投げかけることで、話している方の状況や背景がクリアになっていきます。
また、【事実】として聞いていた話が、実はその人の思い込み【解釈】の話であり、【事実】は全く別だったということもよくあることです。
さらに、思考のフレームワークであるため、会話を続けていくことで、話す側も自然と考えが整理されます。
これは「聞く力」の効果のひとつです。
聞く力が良いチームを育む
米Googleは、実施した社内調査からチームの効果性を高めるためには、心理的安全性が最も重要な要素だとしました。
心理的安全性とは
心理的安全性とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した言葉です。
チーム内での無知や無能と思われるリスクのある発言や行動をしても、このチームなら大丈夫と思える、気兼ねなく自分らしくいられる文化のことを言います。
Googleのリサーチ結果では、心理的安全性の高いチームのメンバーは、離職率が低く、多様なアイデアをうまく利用する、収益性が高く、「効果的に働く」と評価される機会が2倍多い、などの特徴があったそうです。
- 相手のことを大切にする
- 形式に拘らない
- 耳を傾ける姿勢
私はこの結果を知り、先ほど紹介したオモシゴカフェの特徴は、まさに心理的安全性を高める取り組みだったと思いました。
職場でオープンに話すことができるか
聞くことは心理的安全性を育みチームの関係性を良好なものすると思っていますが、オモシゴカフェの参加者からは、よくこのようなコメントも聞きました。
『こんな話、社内ではなかなかできない』
オモシゴカフェで多くの人からいろいろとお話を聞き、私はオモシゴカフェのような気楽に働き方について話せる場が社内にあれば、会社はもっと働きやすくなるのではないかと思っていました。
ただ、社内で開催するには、評価する・されるという関係性の中で、どれだけオープンに話すことができるか?という問題があります。
「好きなことを言って欲しい」「自由に思ったことを話し合おう」と上司から言われたとしても、本音で話すことには抵抗があるでしょう。
そのため、話をする機会を設けるだけでなく、心理的安全性を高め、話しやすい環境を作ることが、チーム作りには必要です。
「聞く力」とは、相手に耳を傾け熱心に話を聞くことで、相手が話したいことや聞きたいことなどを引き出し理解する力のこと。
メンバーそれぞれが自主的に話したくなる環境を作るためには、リーダー・マネージャ層はもちろん、ひとり一人が聞く力を高めることが重要だと思います。
まとめ
先ほどもお伝えした通り、私はどちらかというと口下手で、率先して話をするタイプではありません。
「何を話せばいいのだろう…」「何か質問しないと…」と頭の中で考えながら会話をしていました。
こんなことを言って大丈夫だろうかという不安もあったと思います。
頭の中では何を話せば良いかばかりを考え、相手の話をちゃんと聞ことができていなければ、発言することへの不安も高まります。
相手のことを考えられなければ、相手から信頼されることもないでしょう。
聞く力の大切さを知ることは、相手のことを大事に思うことにつながります。
特にチームをうまくまとめたいと悩むリーダーは、普段どのようにメンバーの話を聞いているか、ぜひ自身でチェックしてみてください。
コロナ禍では、オンラインで開催しているオモシゴカフェ。対面とはまた違った難しさがありますが、「聞く力」を養う機会として、引き続き開催していきたいと思います。