幸せを実感できる仕事をしたいと考えたことはありますか?
もしくは割り切って働いているため、仕事で幸せを感じることはないですか?
競争力低下や人口減少など、将来が不透明で明るい話題が少ない日本では、そもそも幸福感を感じることは少ないのでしょうか?
人生において、働くうえでも生きるうえでも幸福を感じて過ごすことができれば、どれだけ素晴らしいことでしょう。
この記事では、幸福について研究された学問「ポジティブ心理学」の解説を中心に、幸せについて考えてみたいと思います。
ポジティブ心理学から、幸せになるためのヒントを探ります。
ポジティブ心理学とは?
ポジティブ心理学とは、人が幸せに生きることを追究した学問です。
ポジティブ心理学という名前を見ると、ネガティブなことは一切考察しない学問と感じるかもしれませんが、そうではなく、ポジティブとネガティブの両面を取り入れた研究がポジティブ心理学の特徴とされています。
好きなことだけをして生きていくというわけではなく、人間関係の形成や自己実現のためのヒントを見つけることも含まれます。
さまざまな人と接していく現代では、ポジティブ心理学は日々の暮らしの中で役立つことがたくさんあるのではないでしょうか。
ポジティブ心理学とウェルビーイングの関係
ポジティブ心理学では、「幸せ」を「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉で表現します。
人間における満たされた状態というのは、病気の有無など肉体的な幸せを見るだけでなく、精神的にも、社会的にも「満たされた状態」がポジティブ心理学の観点から望ましいと考えられています。
ウェルビーイングとは、持続的な幸せであり心も体も満たされた状態という意味を持ちます。
生活や仕事、社会にも目を向けながら、広い視野を持って満たされた状態を考察しているのです。
PERMAモデルの解説
そんなポジティブ心理学では、ウェルビーイングを構築する要素としてポジティブ心理学の父と呼ばれるセリングマンがまとめた概念「PERMA」モデルがあります。
この言葉は、「ポジティブ感情(Positive emotion)」、「何かに没頭する状態(Engagement)」、「人との関係(Relationship)」、「生きていく意味(Meaning)」、「達成(Accomplishment)」の頭文字を取って作られました。
幸せを向上させるために必要な要素として挙げられています。
ポジティブ心理学のキーワード
ポジティブ心理学にまつわるキーワードとしてさまざまな言葉があります。
専門的な言葉が多いですが、これらを押さえるとポジティブ心理学をより深く理解することが可能です。
覚える際には、具体例を交えながら押さえるといいかもしれません。
主観的ウェルビーイング
主観的ウェルビーイングは、自分の人生を認知的及び感情的に評価する手法と定義されることが多いです。
「人生の満足度+感情」という式で表すことができます。
例えば、大企業に勤めて年収が高いサラリーマンは一般的に見て満足する人生を歩んでいるように見えます。
しかし、仕事に追われて生活に余裕が無く、他に楽しみもなければ決して主観的ウェルビーイングが良い状態とはいえない可能性もあります。
反対に、幸せな家族に恵まれてネガティブ感情が少なければ、所得が高くなくとも主観的ウェルビーイングが比較的良いと感じることもあるでしょう。
ポジティブ心理学の中でも、個人の感情に着目したのが主観的ウェルビーイングです。
幸せの公式
幸せの公式もポジティブ心理学には欠かせない用語といえます。
一般的に幸せの公式は、「持っているもの÷望んでいるもの」で人生の幸福度が算出されると言われています。
例えば、現在2,000万円の資産を持っている者がいたとしましょう。
その者が、5,000万円の資産を望んでいる場合は、幸福度が40%満たされている状態です。
しかし、もし1億円の資産を望んでいたら、幸福度は20%にまで下がってしまいます。
このように、同じ資産を持っていても、望み方1つで幸福度は上下することを幸せの公式は表しているのです。
フロー
フローは、人間がある作業を無我夢中にしている状態を指します。
作業のレベルと自身のスキルのレベルが合致すると、この現象が生まれやすいとされています。
スポーツや音楽等で自主練習をしているうちに、いつの間にか時が過ぎるのを忘れていたという経験はありませんか。
これがフローの一種であり、その自主練習に楽しく取り組んでいる良い状態です。
作業のレベルが自分のスキルより高いと、人間は不安を覚えてしまいます。反対に、作業のレベルがあまりにも低すぎると退屈になります。
このフローは、仕事や趣味において欠かせないポイントとなるのです。
楽観主義
楽観主義な人のことをオプティミストと言いますが、これもポジティブ心理学の観点からすれば非常に重要な考え方です。
試験の結果が悪かったとき、正しく反省をすることで次のステップに切り替えることができます。
「自分はダメだ」とネガティブに考えてしまうと、挽回することが難しくなります。楽観主義の人であれば、「勉強の方法が悪かったかもしれない。改善すれば大丈夫。」と前向きな姿勢で課題に取り組めるでしょう。
楽観主義は、自分自身の状況を冷静に判断する必要不可欠な要素として、ポジティブ心理学にも期待されています。
まとめ
「世界幸福度報告書」の報告書では、日本は対象となる95ヵ国中40位という結果だったそうです。
2020年の幸福度の世界ランキング(「人生に全般的にどの程度満足しているか」という質問への回答のランキング)は、1位がフィンランド(2017年から2019年までのスコアでは1位)、2位がアイスランド(同スコアで4位)、3位がデンマーク(同スコアで2位)という結果でした。〜(中略)〜 なお、日本のスコアは対象となる95ヵ国中40位(2017年から2019年のスコアでは50位)でした。
『世界幸福度報告書』ーーコロナ禍でも幸福度ランキングに大きな変動なし
ポジティブ心理学のキーワードにもあったように、幸せのとらえ方は人それぞれ。仕事への向き合い方や働き方によって幸せの定義は、人や企業によって異なるでしょう。
まずはポジティブ心理学での「幸せ」、「Well-being(ウェルビーイング)」を構成する「PERMA」モデルを参考に、自信が幸せを感じることのできる状態になっているか一度チェックしてはいかがでしょうか。
フロー状態で取り組めると充実感が得られそうですが無理は禁物。楽観主義で主観的ウェルビーイングを高め仕事に向き合いたいものです。