技術職の転職先を探していて、希望に沿った会社を探すのは難しいと感じることはないでしょうか。もう少し様子を見ようと思いながらも、年齢を考えると焦ってしまう人もいるかもしれません。
第二新卒などの20代から経験を積んだ40代まで、年齢により状況は異なりますが、なかなか転職できないと感じるときはそれなりの理由があるものです。この記事では、技術職の転職が難しい理由や転職しやすい年齢の上限、転職を成功させるためのポイントなどを解説していきます。
なぜ技術職の転職が難しいのか?
技術職の求人を出すタイミングは、主に2つに分けることができます。1つは退職者が出るとき、そして2つめは事業拡張を図るときです。1つめの退職者が出る場合においては、定年退職か自己都合かによって状況は変わってきます。定年退職によるものであれば、あらかじめ予定が見えているため新卒採用で調節する可能性が高いといえるでしょう。一方、自己都合で予定外に退職者が出たときは、中途採用を考える可能性が出てきます。
いずれの場合でも、新たに人材の採用を考えるのは「技術職が不足している」ときです。技術職は経験を積むほど企業にとって重要な存在であり、それだけに技術や経験に見合うだけの十分な待遇を与えているケースは多いといえます。当然ながら、条件の良い職場で自己都合による退職をする人はなかなか出ません。また、新たな人材を採用するほど事業を拡張するのも難しい時代になっています。そのため、中途採用を行う企業自体が少ないということが、技術職の転職が難しくなる理由と考えることができます。
技術系で転職しやすい年齢
転職しやすい年齢は、企業規模によっても多少の違いはあるものです。大手企業の場合でいえば、遅くとも30代半ばと考えたほうがいいかもしれません。大手の場合、戦力を求める一方で入社後の成長や柔軟性を重視する傾向があるためです。
ただし、強力なPRになるような資格や実績を持っているなら、30代後半にさしかかっても採用される可能性はあるでしょう。中小企業などの場合は即戦力を重視する傾向が強く、30代後半に入っても転職はしやすいといえます。
技術系の職種と求められやすい条件
次に、技術系の主な職種にはどのようなものがあるか紹介し、さらに転職の際に求められやすい条件について解説していきます。
IT系の主な技術職
IT系の技術職といえば、システムエンジニア、プログラマー、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニアなどがあげられます。どの業務もIT系では欠かすことができません。
建設業界の主な技術職
建設業界の主な技術職は、設計と施工管理です。設計には構造設計、設備設計、そして意匠設計の3つがあります。施工管理は、現場を指揮する立場の人です。実際に扱える工事の規模は企業ごとで変わりますが、一般住宅から公共施設に至るまで幅広く活躍できます。
メーカー系の主な技術職
メーカー系の主な技術職には、開発設計、研究、生産技術、設備保全があげられます。いずれも、新製品の開発に関わるやりがいのある仕事です。
文部科学省が示す技術職の資質能力
技術の統合化と高度化にともない、文部科学省は平成26年に「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を公開しています。それによれば、業務に必要な法令や制度、自然条件等に関する「専門的学識」、業務を遂行するうえで発生した問題を適切かつ重要度を考慮しての「問題解決」、コストや納期、生産性などを踏まえて人員や設備、情報などを配分する「マネジメント」、同僚や上司、クライアントとの効果的かつ明確な「コミュニケーション」が求められるとしています。
他にも、リーダーシップや倫理的行動などをあげており、企業が人材募集をする際にもこうした条件を求める可能性は高いと考えていいでしょう。なお、これらの条件は、35歳程度の技術者であれば資格取得を通して身につけておくことが期待されるものとされています。30代といえば、即戦力となるスキルはもちろん、社会人としての常識も問われる年代です。そのことを念頭に置きながら、企業のやり方には柔軟に対応できる姿勢が求められます。
参考
文部科学省「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」
転職を成功させるためのポイント
では、技術職でなかなか転職できないときはどのような対策をとればいいのでしょうか。ここでは、転職を成功させるポイントを解説していきます。
自分を客観的に見てみる
自分がどのような人物なのか、客観的に見ることも大切です。まず、資格をはじめとしたスキル、これまでの経歴や実績などを書き出してみましょう。そして、どういった点が自分のもっともアピールできる部分なのか把握するのです。同時に、足りないものがあればスキルとして身につけておくことも必要になります。採用したいと感じてもらうには、それに見合うだけの魅力的な人物であることが求められます。
興味のある業界の動向を探る
興味のある業界が今後どのように変化していきそうなのか、業界や市場の動向を探ることは重要なポイントです。現状で起こっている問題、業界全体の景気などを網羅的に見ておきましょう。そこから、将来の予測をしていくのです。業界についてさまざまな観点から知識を深めておくと、面接などの場面でアピールしやすくなります。
企業が欲しい人物像を研究する
同じ業界の同じ技術職であっても、企業によって求める人材の特徴は違います。転職で採用を勝ち取るには、企業が求める人物像を研究しておくことです。まず、企業のサイトをじっくり見るだけでも社内の雰囲気を掴むことはできます。
社員のインタビューなどを掲載している企業も多いので、目を通しておくといいでしょう。経営理念や会社代表からのメッセージも押さえておきたい重要な部分です。もちろん、実際の応募条件の確認も忘れてはいけません。
技術職で転職する場合、スキルを求められるのは当然のことです。それ以外に、他の社員と問題なくコミュニケーションが取れるかどうか、新しい職場に順応しやすいかといったことも重視されます。入社しても自社の一員としてやっていけると思ってもらうためには、企業が求める人物像に近づけることです。
資格や経験を活かせるなら異業種でも挑戦してみる
経験や資格を活かした転職を考えるとき、どうしても同じ業界で求人を探す人は多いのではないでしょうか。実は、転職のとき意外と盲点になるのは異業種の求人募集です。主軸となる業務の他に、まったく違う業界に新規参入する企業は珍しくありません。
例えば、ナチュラル志向の生活雑貨を扱う企業が、同じテーマとして無垢材をベースにした住居の設計と建設を始めるケースもあります。それが大手企業だった場合、転職によって年収アップを図ることも可能になります。
転職エージェントを活用する
条件の良い転職を目指すなら、転職エージェントを活用するのも手段の1つです。転職エージェントの良さとしては「非公開求人を紹介してもらえる」「報酬の交渉や面接のセッティングをしてもらえる」などがあげられます。
自分だけではなかなか転職ができない、希望に沿った求人募集が探せないというとき、転職エージェントは有効な手段といえます。転職エージェントの多くは無料で登録できます。アドバイザーによる転職相談も行っています。に技術職の場合、未経験の分野の転職は難しくなりますが、ひとりで悩まずに転職エージェントに自身の希望を伝えてみるといいでしょう。
戦略を立て転職を成功につなげよう
条件の良い企業になるとそれだけ社員の定着率も高いため、なかなか中途採用は望めないかもしれません。しかし、それでも注意深く情報を得るようにしていけばチャンスが来ることも期待できます。
また、タイミングが良ければ、異業種の大手企業に好条件で転職できる可能性もあります。自分を分析しながらじっくり戦略を立てることで、技術職の転職を成功につなげましょう。