転職の際経歴もチェックされますが、面接での自己紹介の内容も合否に大きく影響します。しっかり採用担当者に自分の魅力を伝え、採用してもらうためには自己紹介を工夫することが大切です。
そこでこの記事では、自己紹介の際に押さえたいポイントや、自己紹介の成功例・失敗例を紹介します。ここで紹介した例を参考にして転職を成功させてください。
監修
森田 秀司 さん
大学卒業後、外食産業を経て人材サービス業界に入り、業界経験20年。転職エージェント9年、再就職支援3年、人材派遣5年の他、自身も派遣社員として2年半の就業経験があり、多種多様な働き方の支援に携わる。その後、京都地場の人材サービス会社にて、エンジニア専門転職エージェントサービスの立ち上げ、自社採用業務、派遣事業管理に携わる。人材紹介の仕事について日々思うことをnoteで配信中。
大学卒業後、外食産業を経て人材サービス業界に入り、業界経験20年。転職エージェント9年、再就職支援3年、人材派遣5年の他、自身も派遣社員として2年半の就業経験があり、多種多様な働き方の支援に携わる。その後、京都地場の人材サービス会社にて、エンジニア専門転職エージェントサービスの立ち上げ、自社採用業務、派遣事業管理に携わる。人材紹介の仕事について日々思うことをnoteで配信中。
自己紹介と自己PRはどう違う?
自己紹介と自己PRは似ているようで異なるものです。自己紹介を求められているのに自己PRをしてしまったり、逆のことをしてしまったりして、面接官の意図とは異なる回答をしてしまう人も意外と多くいます。まず自己紹介の対策を始める前に、自己紹介と自己PRの違いを理解しましょう。
自己紹介
自己紹介も自己PRも「自分のことを相手に伝える」という部分は共通しています。ただ、自己紹介は自分がこれまでやってきたことなど、自分のそれまでの経歴について話します。そのため、学歴や職歴、性格や趣味など、「自分はこういう人間です」という内容を自分なりに伝えましょう。
自己PR
それに対して自己PRは自分の強みや得意とすることについて話します。こちらに関しては企業からどんなことが求められているのかを考え、その内容に沿って「自分はこういうことで企業の役に立てます」ということをアピールします。自己紹介は自分基準、自己PRは企業目線で話すものと捉えると良いでしょう。
出典:
【OK・NG例文あり】面接での自己紹介と自己PRの違いや正しい伝え方
面接で自己紹介を求められる理由
面接で自己紹介が求められるのは、その人の人間性を知るためです。話し方や得意なこと、趣味などからその人の人となりが見えてきます。そして自己紹介の内容や雰囲気からその人が企業の社風に合う人材か、チームの人と上手くやれるかを判断します。自己紹介は面接の冒頭に緊張をほどくために行われることが多いです。
自己紹介はその人の本性を見極める目的で行われることが多い
その人の趣味や好きなこと、部活や習い事についても話すので、自己紹介では面接官と話が盛り上がることもよくあります。しかし、緊張が緩んでいる状態だと、その人の素の部分が見えやすくなるのも事実です。面接などフォーマルな場では誰もが自分を作り込むので、実際の性格がなかなか見えてきません。
そこで自己紹介を通して会話をし、緊張をほどくことで、面接では見えにくいその人の本質的な部分が見えやすくなります。したがって、本当に企業が求めている人材にマッチする手段として自己紹介は適しているのです。
自己紹介はコミュニケーション能力をはかる手段でもある
また、転職の場合面接官は自己紹介を通してその人の社会人として最低限のマナーか身についているかどうかも判断しています。自己紹介はその人の第一印象を決めるものです。社会人として働いているなら、第一印象の大切さは理解しているでしょう。
自己紹介では、初めて会う人に対してどのようなファーストコンタクトの取り方をするのか、初対面の人とうまくやれるコミュニケーションは身についているかも見られています。自己紹介はこちらのペースで話しやすい内容なので油断しがちですが、しっかり自己紹介の内容や態度も審査に含まれていることを理解して面接に挑みましょう。
自己紹介で押さえるべきポイント
それでは、自己紹介ではどんなポイントを意識すべきなのでしょうか、自己紹介で押さえるべきポイントを紹介します。
自己紹介はわかりやすく簡潔に
自己紹介では、「わかりやすく簡潔に」を意識しましょう。自己紹介はあくまでこれから自己PR
などを聞くうえで必要な志望者の情報を集めるための手段の1つです。そこで長々と自分のことを話しすぎてしまうと、面接官も次に進めずに困ってしまいますし、空気の読めない自分の話ばかりする人と判断されてしまうでしょう。
自己紹介の構成
- 氏名・挨拶
- これまでの学歴・職歴
- 実績
- 締め
これらを基本的な自己紹介の構成とすると良いでしょう。この枠組みに当てはめて自己紹介をスムーズに終えましょう。そして、目安としては1分程度で終えることを意識してください。
目線・姿勢・声の大きさ・話すスピードに気をつけよう
第一印象でその人のイメージの9割が決まるとよく言われます。そのため、最初に背筋がしっかり伸びているか、しっかり面接官の目を見れているか、第一声がはっきり出ているか、早すぎず遅すぎないスピードで話せているかで面接におけるその人の印象が決まってしまいます。
目線がずれていたり、猫背だったり、声がどもりがちだったりするとなかなかそのイメージを挽回しにくいです。最初に自信を持って堂々と話すことを意識してください。
自己紹介の回答例&失敗例
それでは、印象の良い自己紹介の例と失敗例を紹介します。これらを参考にして面接を成功させましょう。
自己紹介の成功例
本日はお忙しい中お時間を作ってくださりありがとうございます。○○△△(氏名)と申します。これまでは株式会社××にて営業を担当してきました。また、現在の会社では3年間の間で社内の月間売上トップを7回獲得してきました。
この際、私はお客様のニーズに沿ってベストな選択肢を提案することを心がけてきました。自社製品だけでなく他社製品も提案することで、他社製品を選ばれてしまうこともありましたが、おかげでお客様の信頼を獲得でき、別案件でお客様に商品を購入していただいたり、商品を長く使っていただけたりすることが多くありました。
御社の方針が「お客様第一のサービスを提案する」とのことで、私のこれまでの営業のスタンスと合致しており、御社なら営業としてより結果を出せるのではと感じ、応募に至りました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
この例文は先ほど紹介した「氏名・挨拶」「自分の経歴」「実績」「締め」の4部で構成されています。文字数も300字程度で、実際に口に出すと大体1分程度でまとまる内容です。
この自己紹介では、自分がこれまでやってきたことに加えて、転職先の会社で何がやりたいのか、どのように活躍したいのか、そしてどんなスタンスで仕事に取り組んできたかということも伝えられています。
会社と合致する人材かどうかを判断するにあたって必要な情報を提供している内容であり、企業担当者も企業のニーズにマッチするか判断しやすい自己紹介と言えるでしょう。
自己紹介の失敗例
本日はお時間をいただき誠にありがとうございます。〇〇株式会社から来ました、△△××と申します。私は新卒で現在の会社に入社し、現在まで3年間営業を担当してきました。
3年の間では、7回月間売上トップも獲得しました。結果を出すことに対する執着心は人一倍強いと思っています。
今回は今働いている企業よりも規模の大きい御社でどれだけ自分の実力を発揮できるのか、自分を試してみたく転職に挑戦しました。何卒よろしくお願いいたします。
こちらの失敗例は構成自体は問題ありません。ただ、職歴や実績をどうやって今の会社で活かしたいのかがわからず、どうしてこの会社を受けようと思ったのか採用担当者に伝わらない内容になっています。
また、結果や実績ばかりをアピールしており、高飛車な印象にもなってしまっています。あくまで謙虚に、職歴や実績は応募職種に絡めて話すことを意識しましょう。
ケース:優秀人材が自己紹介で落とされる
最後に、ある優秀人材がコンサルティング会社の面接で落ちた事例をご紹介します。
順調に1次、2次面接を突破。最終面接が終わり、人事担当の方からきた連絡は「お見送り」でした。理由を聞くと「自己紹介で8分以上喋っていました」ということでした。
面接官(社長、役員の2名)も話が長いと感じ「早く終わらせてくれ」という仕草を見せていましたが、本人は意に介さずに熱弁をふるっていました。
この会社ではコンサルタントの基本能力としてプレゼン能力を重視していたこともあり、この自己紹介でほぼ「詰んで」しまい、短時間で面接は終了となりました。
皆さんも、面接でなくとも自己紹介で8分以上相手に喋られると、どうでしょうか?疲れてしまう方、うんざり感じる方も出てくるのではないでしょうか?
とはいえ、この求職者の方は非常に優秀な方でした。有名大学を卒業し、広告サービス会社でトップセールスになった後、業界最大手の教育サービス会社に転職。ここでも法人営業で成果を上げ、新規事業の立ち上げを担当して稼げる事業になるまで成長させた手腕の持ち主でした。
バイタリティ、コミュニケーション力、営業ノウハウなどどれも優れており、難関面接で知られているこの会社の2度の難関面接を突破して最終面接まで進んだ方です。しかし、そんな優秀な人材なのに、仕事の実績や専門スキルが評価されなかったのではなく、自己紹介でつまづいてしまったのです。
優秀な人材と評価されている方でさえ、面接の場で力が入りすぎ、本来の力を発揮できないという事実に直面したのです。
面接の第一印象は自己紹介で決まる!
転職の際の自己紹介は、その人の人となりを面接官に印象づけるものです。第一声でその人の印象が決まると言っても過言ではないので、気を抜かずにはきはきと簡潔に自分の経歴などを喋ることを意識しましょう。
また、自己紹介はその人が企業にマッチするかを判断するものでもあります。特に場に応じたテンションで会話ができるかどうかなどのコミュニケーション能力はチェックされているので、謙虚に適切な言葉遣いで面接に取り組みましょう。
参考:
「自己紹介」の話し方・伝え方~簡単そうで、侮れない~(森田秀司のnote)