日本は国際的に見て、生産性が低いとよく言われます。それは日本人の一人当たりGDPが、先進国の中では格段に低い事実に基づいています。
日本が国際的な競争力を付けるためには、一人ひとりが生産性を高めていく必要があるでしょう。そこでこの記事では、生産性とは何かを問いながら、生産性の高い人の特徴について解説します。
生産性とは何か
そもそも生産性とは何でしょうか。モノであれサービスであれ、私たちが何かを生み出すには資本が必要になります。その中には資金などの財務資本、労力やインフラなどの非財務資本(財務諸表には記載されない情報。製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本。)が含まれます。
生産性は投入された資本量と作り出される生産物の産出量の比率(産出量/資本量)で表されます。比率が高いほど生産性が高いことになり、比率が低ければ生産性が低いことになるわけです。同じ資本量であれば、効率を高めることで生産量の向上につながります。
また、同じ生産量であっても、やはり効率を高めて少ない資本量ですめば生産性がアップしたことになります。即ち、効率性を意識することが生産性を高めるために不可欠な要素です。
生産性が高い人はグローバルな視野を持つ
日本の生産物は、モノであれサービスであれ品質が高いことが大きな特徴でした。元来、日本人は効率よりも品質に重点を置いたモノづくりにいそしんできました。
メンバーシップ型の雇用システムや長時間労働が習慣化しており、サービス残業などにもつながっています。働き方改革など社会的な取り組みはなされるものの、労働者自体の意識改革は途上段階にあると思われます。
一方、グローバルな視野に目覚めた人は、国際的な競争力をつけなければ生き残れないことを理解しています。彼らは、限られた時間の中で如何に生産性を上げるかに重きを置きます。品質管理の方法やノウハウは既に構築されているので、これからはよりレベルが高い効率性が求められると言えます。
生産性が高い人の特徴
それではここから、生産性が高い人が持つ特徴をみていきましょう。
- 優先順位をつけることに長けている
- 成果をあげるのが喜び
- 専門性の高い知識やノウハウ
- 高い目標を掲げる
- プライベートとの切り替えが上手い
- チャレンジする姿勢
- 組織やチーム力を重視する
- メンバー間のコミュニケーションを大切にする
優先順位をつけることに長けている
生産性の高い人の特徴として、先ずは仕事の優先順位を付けることに長けていることが挙げられます。効率的な生産活動にとっては、必要な要素とそうでない要素の見極めが肝心です。生産性の上がらない仕事にいくら時間を費やしても、時間という資本の無駄遣いになります。
また、生産性の高い人は情報の取捨選択にも優れています。有用な情報は素早く検索できるように管理し、必要な時に直ぐに取り出せるようにしているわけです。デジタルデバイスなどの操作能力も、そうした管理能力に含まれます。
そもそも、有能な人は普段から情報の取得量が多く、それが物事の優先付けに大いに役立つと言えます。そして、それは常にアンテナを張り巡らすことで可能になるものです。
成果をあげるのが喜び
多くの日本人は、マイペースで仕事をこなし、そこそこの成果で満足しようとします。一方、生産性の高い人は、素早く仕事をこなすことを快感とし、多くの成果をあげるのを喜びとするものです。
そのような人は成果を上げることで活力が得られるので、仕事に対して疲労を覚えることはありません。生産性を上げるために目標を掲げ、目標達成の為に心と体をフル回転させます。時には目標に届かないこともあるでしょうが、反省点を見出して次の仕事に活かします。
また、いち早く成果を上げるには、複数の作業課題を分析し、優先事項に集中的に取り組まねければなりません。そこには、素早い判断能力も求められます。
専門性の高い知識やノウハウ
そもそも生産に必要な知識やノウハウが薄ければ、生産性を高めることは不可能です。優れた専門家は、新たなスキルの取得にも貪欲です。効率的な仕事を探るべく、関係者以外にも指導を仰いだりします。そうした謙虚な心構えも、生産性の向上には必要な要素です。
生産性の高い人の目線はグローバルに向けられており、常に時代の最先端を追い求めます。最先端の知識やノウハウを備えることが、グローバルな競争力を付ける土台だと言えます。そうした土台を築くことで、高い問題解決能力も身についていきます。それが仕事の課題に対して、斬新なアイデアの源泉になるわけです。
高い目標を掲げる
生産性の高い人は、自らに高い目標を課しています。人は高い目標に立ち向かう時、自ずと仕事のペースを上げながら、集中的に取り組むようになります。目標が高ければ高いほど、活力が湧いてくるのが有能な人の特徴です。
目標設定が習慣化されると、どんな些細な事でも効率よく行うようになります。日常そのものが効率性を高める訓練になるので、それが仕事の現場にも活かされます。
プライベートとの切り替えが上手い
仕事とプライベートのメリハリをつけ仕事に打ち込むことで、精神的なバランスを維持できます。安定して生産性を向上させるには、想定される課題への対処法を準備しておく必要があります。優れたビジネスパーソンは生産性を妨げる課題を事前に予想し、第二第三の対処法まで用意するでしょう。
チャレンジする姿勢
高い目標にはリスクが伴います。リスクがあっても物怖じせず、果敢にチャレンジしていく姿勢も大事な要素です。そうしたリスクを恐れて動き出すのが遅くなることも生産性が上がらない理由のひとつです。
また、動き出しても課題対策ができていなければ生産はストップしてしまいます。生産性の高い人とは、高い目標を掲げると同時に、想定される課題やリスクを思い描ける人と言っても良いでしょう。
組織やチーム力を重視する
生産性の高い人には、やり手の一匹狼的なイメージがあるかもしれません。ただし、たくさんの人が関わるいまの生産現場では、一人で成し遂げられることには限りがあります。モノづくりであれサービスであれ、組織を抜きにして事業は成り立ちません。
生産性の高い人は、組織での自分の役割をよく理解しており、その中で最大限のパフォーマンスを発揮します。リーダーであれば、部下も最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、有用なアドバイスをすることでしょう。優れたリーダーは、自分が所属する部署だけでなく、会社や生産現場全体を見据えながら生産性アップに努めるものです。
メンバー間のコミュニケーションを大切にする
生産性を高めるには、チーム力というものを最大限に発揮することが重要です。独りで全ての仕事を行うことは困難であり、効率性の面からも一人での仕事には限度があります。
チーム力を高めるには、コミュニケーションや会議などが効率的になされなければなりません。ぎくしゃくした職場環境や非効率な会議は、生産性にとってマイナスでしかありません。生産性の高いチームであれば、有能なリーダーの下に高い目標が設定されるものです。
優れたチームは、メンバー1人ひとりが設定された目標に対して責任を持ちます。それぞれが成果を追求することで、チームとしての生産性も上がるわけです。
まとめ
生産性の高い人の特徴は、何事においても効率を追求することが先ず挙げられます。効率を重視するかしないかで、仕事の取り組み方が異なってきます。
その上で、高い目標を掲げながら、想定されるリスクへの対処法も用意する。そして、組織人として最大限のパフォーマンスを目指すことが、生産性の高い人に共通する特徴だといえるでしょう。
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