社会人としてある程度の経験や技術が身についてくると、やりがいやキャリアアップを求めて転職を考える人は少なくありません。
しかし、自分は何をしたいのか、何をするべきなのかがわからなければ、行動に移すことは難しいでしょう。
そういうときにやっておきたいのは自己分析です。自己分析の方法はいろいろとありますが、今回はライフチャートに注目し、作成方法や自己分析のやり方などを解説します。
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「自分には何が大事だったのかわからない」という人には、ライフチャートを作成することをおすすめします。
ライフチャートとは何か
ではまず、ライフチャートとはどのようなものかみていきましょう。
ライフチャートの基本的な知識
ライフチャートとは、簡単に言えば今までの人生における「幸福感」や「充実度」を可視化したグラフのことです。縦軸が幸福度、横軸が年齢になっています。10歳だったときの「幸福感」「充実度」を点数にすると何点だったのか、という具合に生まれてからの出来事を振り返りながら点数をつけていきます。
現在に至るまでの人生に点数をつけたら、点と点を線で結ぶことで人生の推移が見えてくるというわけです。「幸福感」「充実度」という他者にわからない感覚に点数をつけるのは、難しい作業と思えるでしょう。
しかし、ライフチャートにおける点数は、深く考えるのではなく直感でつけてかまいません。余計な脚色をせず思うままに点数をつけることで、正しく自己分析ができます。
ライフチャートを作成する目的
どのような目的でライフチャートを作成するのかというと、客観的に自分がどのようなことに喜びを見いだせるのかを明らかにするためです。
転職を考えているけれどもやりたいのかわからない、という人がライフチャートを用いて自己分析をすれば、答えを見つけやすくなるでしょう。
また、ライフチャートはそのときどきの「幸福度」「充実度」を折れ線グラフで示しており、山になっている部分が絶頂期だとすれば、谷は低迷期です。低迷期に注目して、なぜそうなったのかを考えていくことで、同じことを繰り返すことはなくなり、低迷期からの抜け出し方もわかります。
転職に際しても、職場の環境や仕事内容から自分には合わない求人案件を避けられるでしょう。
ライフチャートはどうやって作成し使えばいいのか
ここからはライフチャートの具体的な作成方法を解説します。
ライフチャートの作り方
ライフチャートを作成するために、まず必要となるのは縦軸と横軸の数直線です。縦軸は、「幸福度」「充実度」のように自分の感情がどうなったのかを示す言葉を置きましょう。
続いて横軸に置くのは年齢ですが、右に進むほど年齢が高くなるように数字を入れていきます。年齢は0歳以前になることはないので、0歳よりも左側は必要ありません。
数直線ができたら年齢ごとの「幸福度」「充実度」を考えていくのですが、1年ごとではなく進学や就職など人生で重要なイベントがあった時期に絞っても大丈夫です。
いきなり数値化するのは難しいかもしれないので、何歳の頃に重要なイベントがあったのかをまとめてみましょう。
記憶が曖昧なときには、アルバムや当時の心情を書いたブログ・SNSなどを読んでみます。そして、そのときに、どのような気持ちであったのかを思い出します。
そこから自分が幸せを感じていたときには、「幸福度」「充実度」がプラスの位置になるように点を打ち、逆に不幸を感じたときには、「幸福度」「充実度」をマイナスの位置につけます。
そこで点が何を意味するのかわかるように、イベントの概要も書いておきましょう。自己分析は他人に見せるものではないので、概要は何があったのかわかる簡単なキーワードで構いません。
現在までに起きたイベントを数値化ができたら、あとは点を点を結ぶだけです。
いくつもの山や谷で構成された折れ線グラフができたら、ライフチャートは完成です。なお、ライフチャートは人生を振り返るために使うものでありますが、0歳から始めなければいけないという厳格なルールはありません。
小学生から始めることもできますし、大学卒業から始めることもできます。自己分析ができるくらいのイベントがあれば、短期間のライフチャートでも十分に役立ちます。
ライフチャートの使い方
ライフチャートの使い方ですが、転職では面接対策に使えます。
人事担当者が面接で発する質問は、転職希望者の性格や適性を見極めるためのものです。
もし、転職希望者自身もその会社で長く働く気があるのか、仕事に適性があるのかわからなければ、曖昧な返事しか出来ません。
そういう状態で、人事担当者に良い印象を持ってもらおうとすれば、心にもないことを言わなければいけなくなります。
人事担当者は、数多くの転職希望者と面接をしており、上辺だけ取り繕った嘘を言っても見抜かれる可能性が高いです。
嘘を見抜かれて、採用されることはないでしょう。
ライフチャートで自己分析をすれば、何をしたいのか、何ができるのかということが見えてきます。
面接で、なぜ自分がその仕事をやりたいのかを正直に言えますし、働くことで会社にどのような利益をもたらせるのかを伝えることができるでしょう。
また自分が転職する上で軸となるものをライフチャートにより発見できれば、面接で自信を持って受け答えができるので、人事担当者に与える印象が良くなります。
ライフチャートを使った自己分析
ライフチャートが完成したら、グラフの線が上がっている部分と下がっている部分に注目することで自己分析ができます。
線が上向いている時
線が上がっている部分では、何が「幸福度」「充実度」を高める要因になったのかを考えましょう。
例えば、就職をするときに線が上がっていたとすれば、入りたいと思っていた会社で働けるようになったなどが要因として考えられることです。
線が上がっている要因を明らかにしたら、さらに深掘りしていきましょう。
前述の就職についていうならば、入りたい会社に入れたということが「幸福度」「充実度」を高める要因として考えられることでした。
次に考えるのは、内定を得られた理由です。
例えば、企業分析を入念にやったとか、書類選考や面接の対策を早い段階からやっていた、ということが内定の獲得に貢献したとします。
その分析で見えてくるのは、自分の強みです。
数字を読み解くことが得意とか、物事を計画的に進めることができるということがわかります。
線が下がっている時
逆に線が下がっている部分については、どうして落ち込んだのかを考えていきます。
例えば、大学進学のときに線が下がっていたとしたら、志望校に入れなかった、仲の良い友達と離れ離れになってしまったということが要因になります。
その要因から、自分にとって何が大事だったのかわかるでしょう。そして要因から、そうなった原因を突き止めます。
英語ができなかった、新しい環境に順応できなかったといった原因から見えてくるのは、自分の弱みです。
語学や気分の切り替えが不得意という弱みから、転職で必要となる対策を講じることができるでしょう。
線が下がっている部分があっても、下がりっぱなしということはまずありません。
ある程度まで下がったら、今度は上る部分もあります。
ターニングポイントと言える部分では、どうやってマイナスをプラスへと転じたのかを突き止めましょう。
そうすれば、似たような場面に直面したとき、乗り越えることが可能です。
ライフチャートを使った自己分析がもたらす効果と注意点
ライフチャートは特別な道具も必要なく、紙とペンがあれば自分自身と向き合えることができます。
ライフチャートの効果
ライフチャートを使った自己分析をすれば、自分にはどのような価値観があるのか、何を大事にしているのかが明確になります。
その価値観や大事にしていることは、物事を判断する基準になるものです。
日々の生活で選択を迫られているとき、基準があれば迷うことはなくなります。複数の物事を処理しなければいけないときも、優先順位をつけることができるので、効率的な作業が可能となるでしょう。
転職における面接等で自己PRをするときには、根拠となるエピソードを話せるようになります。
ライフチャートを作成することで、エピソードにでてくる自分はその時何を考えていたのか、そのエピソードから学んだこと、経験を何に活かせるのかということが明らかになっています。
それらのことをエピソードに盛り込んで話せば、自分の考えや人となりを人事担当者に理解してもらいやすくなります。
ライフチャートの注意点
ライフチャートでは、思い出したくもない低迷期とも向き合わなければいけません。
しかし、低迷期からも学べることがあります。
過去にこだわり、低迷期の原因となった自分の短所から逃げていては、不十分な自己分析となるだけです。
低迷期は過ぎ去った過去だと割り切り、分析結果を自己PRなどに使えるように工夫をしましょう。
また、自己分析では、曖昧な言葉ではなく具体的な言葉を使う方が良いです。
例えば低迷期だったときの心情を、「かなり辛かった」という表現をすれば第三者に伝わりにくくなります。
具体的に、布団に入っても2時間近く眠れなかったとか、友達からの電話に出られなかったというように書きましょう。
ライフチャートで過去を振り返れば今後の人生を切り開ける
転職で、自分のやりたいこと、できることがわからないときには、ライフチャートを使って自己分析をしましょう。
過去を振り返り、自分では気が付かなかった価値観や特性を明らかにすれば、答えが見えてきます。そうすれば自分にふさわしい仕事と巡り会えます。
また、ライフチャートを作成し、自分がどのような人間がなのかを知ることで、書類選考や面接の自己PRがしやすくなり、採用される可能性も高まるでしょう。
ライフチャートを作成して気づいた、価値観や大事にしていることは、物事を判断する基準になるものです。
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