転職を成功させるには、まず書類選考に通って面接まで進まなければなりません。しかし、書類選考でどのようなポイントがチェックされているのか理解していなければ、通過しやすい書類を作成することは困難でしょう。
この記事では、書類選考の通過率や採用担当者が見るポイント、書類選考の流れなどから、書類選考に通過しない原因を探っていきます。
書類選考の通過率は?企業の種類や年齢でどう変わる?
書類選考の通過率は、企業の業種や規模、応募人数などによって変化するため、一概には言えません。しかし、一般的には30~50%程度と言われています。
ベンチャー企業は通過率が高い?
企業別では、一般企業は書類選考の基準を低めに設定してあるものの、応募者の人数が多くなることで結果的に通過しづらくなっている状況があります。
また、かつては実力主義であるベンチャー企業の応募人数は比較的少ないということもあり40~50%程度の高い通過率でした。しかし現在は、有力なスタートアップが増え、そのビジネスモデルや理念から人気の高いベンチャー企業もあります。 そのような企業では、人材獲得に猛烈なパワーと資金を投入しているため、実際に応募人数も多く書類選考を通過するハードルは高くなります。
大企業は通過率が低い?
大手企業では10年後20年後を見据え、高齢者割合の高い年齢構成(いわゆる逆ピラミッド型)に危機感を持っています。新規事業や社内改革を進めたい意向もあり、年間100名単位の中途採用に取り組む企業も多く、募集枠もさまざまなポジションがあるため、応募枠の数は増えています。
ただ、大手企業は待遇が良く長く勤める人が多いため、人員の入れ替え自体は多くはありません。求職者にも人気が高く、採用数が増えているとはいえ、限られた枠を大勢の応募者で争うことになります。その結果、通過率は低くなる傾向にあり、10%程度と言われる場合もあります。
逆に言えば、応募者の内50~90%は書類選考の時点で落とされているということです。たくさんの企業に応募すれば通る可能性が高くなるというものではなく、選考に通るためのポイントをおさえた書類を作成しなければなりません。
20~30代は可能性を加味
年齢的には20代の新卒や第二新卒は将来の可能性を加味されることがありますが、30~40代になるとキャリアや実績を重視されるため、書類選考の通過率は低くなりがちです。
キャリアアップや待遇の改善を目指して転職を検討しているのならば、採用されやすい書類の作成方法だけでなく、アピールできるような実績作りにも意識を向けるようにしましょう。
書類選考の基準とは?採用担当者がチェックするポイント
書類選考の時点では、多数の応募者から届けられた書類を一つずつ確認しなければなりません。そのため、採用担当者は企業ごとに一定の基準を設けて、その基準を満たしているかどうかで合否を決定しています。
以下に、一般的な書類選考におけるチェックポイントを見ていきましょう。
基本情報
最初にチェックされる項目が、学歴や職歴、資格等の基本情報です。企業の採用条件に合っているか一目で判断できますので、記入漏れがある場合、必要最低限の条件を満たしていない経歴の場合には即座に落とされるでしょう。
ただし、企業によっては条件を満たしていなくても、実績やスキルなどから合格の判断をすることがあります。アピールできるスキルがあれば、忘れず記入しましょう。
企業とのマッチング
自己PRや志望動機などから、自社の経営理念に共感しているか、人材の要件が社風や募集内容と見合っているのかを判断されます。経験やスキルが企業の求める人材とマッチしていれば、通過率は高くなるでしょう。
ただし、履歴書だけで自分のことを伝えるのは容易ではありません。長くなりすぎないように気をつけながら、必要なアピールポイントはしっかり記入するとともに、職務経歴書で具体的な内容についても触れておきましょう。
長く働けるか
企業にとってみれば、一人の人材を雇用・育成するために少なくないコストが発生します。そのため、優秀なだけでなく、自社で長く働く人材が求められています。
従って、志望動機などで長く働きたいという気持ちが伝わるようにアピールするとともに、職歴に関しても書き方の工夫が必要です。長く勤めあげた経歴であれば問題ありませんが、勤続年数が短い人、転職回数が多い人は、正当かつ採用担当者が納得できるような理由があれば書いておきましょう。
社会人としてのマナー
能力があると見込まれる人材でも、企業で働くにあたって社会人としての常識や文章力は必要不可欠です。問い合わせや応募におけるマナーや誤字脱字がないか、正しい日本語を使っているかなどをしっかり確認した上で書類を作成・提出しましょう。
書類選考の流れ
書類選考の流れは企業でそれほど大きな違いがありません。まず、応募書類を受け付けて、企業の基準に従って記載内容を確認し、合否の判定を行います。その後、応募者に対して合否の連絡をするという流れです。
受付
書類の受付方法は企業によって異なりますが、持ち込みや郵送が一般的です。近年ではネットが普及していることもあり、企業のホームページやEメールを利用した応募が可能なところも多いです。また、転職サイトや転職エージェントを利用している場合には、作成した書類をエージェントが介して提出するケースもあります。
いずれの方法でも、書類は提出期限が定められていますので、期限内に先方に届くように早めに提出しましょう。
書類選考
書類選考は企業の採用担当者が行うため、応募者が何かする必要はありません。選考期間は企業の規模や採用人数によって異なりますが、あらかじめ日数を通達されることがほとんどですので、結果を待ちましょう。
なお、企業によっては選考期間中に電話などで書類に関する問い合わせが来ることもあります。念のため、連絡先にしている電話やメールは着信をこまめにチェックしておきましょう。
合否の通達
企業によっては合格者にしか連絡しないところもありますが、特に通達がない場合には、不採用者にも合否の連絡が届きます。連絡方法や不採用者への連絡の有無については、企業からの通達をきちんと確認しておきましょう。また、全員に連絡が来ることになっているにも関わらず、選考期間を過ぎても連絡がない場合には、一度問い合わせをする必要があります。
書類選考に通過しない原因は?書類作成における注意点
書類選考で通過できない場合、いくつかの原因が考えられます。
応募書類が指定の書式になっていない
まず、企業が指定している条件に従って書類を作成していない場合です。指示に従わずに自由に作成する人はマナー違反ですし、ミスで不備があった場合や読みにくい字で書かれた場合も、社会人としてマイナスの評価をされるでしょう。採用担当者は膨大な量の書類を確認しなければならないため、少しでも負担を与えずに作業を進められるような気遣いが評価されます。
企業が希望する人材とあっていない
学歴やスキル、資格が不足している場合は言うまでもありませんが、応募者の希望条件が企業の雇用条件と合わない場合、書類から企業に対する熱意ややる気が伝わらない場合なども書類選考の段階で不採用になるでしょう。どこの企業にも出せるような曖昧な内容の自己PRや応募理由を記載したり、自分本位な希望ばかりを主張したりしている人は、面接に進むことは困難です。
転職回数が多い・勤続年数が短い
また、転職回数が多い人、勤続年数が短い人は書類選考で落とされる可能性が高くなります。正当な理由があったとしても、書類選考の段階で落とされてしまうと、面接で事情を説明することができません。やむを得ない事情や理由がある場合は、自己PRや志望動機などでその旨を記載しましょう。
書類選考の通過率が上がる要因・下がる要因
一般的な通過率があるにせよ、応募する職種、年齢、その求人の人気、採用企業の選考基準などが通過率の変動する要因となります。
通過率が上がる要因
通過率が上がる要因としては、主に下記が挙げられます。
- 自分の経験と職種が合っている
- 転職回数が少ない
- 企業側が求めている年齢層と、自分の年齢が合っている
- その求人に、あまり応募がきていない
即戦力が欲しいと思う企業側からすれば、求めている経験や年齢層が希望に近ければ、それだけ面接で話を聞きたいと思うでしょう。また、なかなか応募が無く、面接すらできなく困っている会社であれば、まずは面接を組みたいという考えになるでしょう。
通過率が下がる要因
通過率が下がる要因としては、下記が挙げられます。
- 未経験、または経験があまりない職種である
- 転職回数が多いと判断される
- 企業側が求めている年齢層と、自分の年齢が合っていない
- 応募者がたくさん来ている
通過率が上がる要因とも併せて考えると、企業側のニーズが合うと思える時に上がり、そう思われない場合に下がります。
変動要因はさまざまですが、仮に経験がピッタリだと思う求人であっても、企業側が求めている年齢とズレていたり、応募者が非常に多い人気企業だと、通過率は下がります。
逆に、経験があまりない仕事であっても、未経験でもいいので20代の人材が欲しいと企業側が思っていれば、20代の方の通過率が上がりもします。
まとめ
このように、書類選考を通過するためには、採用担当者の基準を満たすような書き方をする必要があります。ただし、お手本通りに書くのではなく、面接のときに矛盾が生じないように、自分の伝えたいことを自分の言葉で考えて書くようにしましょう。同レベルの応募者がいた場合には、個性をアピールすることがアドバンテージにつながります。