本気の挑戦、求む!
5Mix |複業キャリア支援プログラム
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ここ最近、複業は新たな可能性を切り拓く手段として注目を集めています。年齢や職種を問わず、自分の可能性を広げるために、複業や起業を志す人が増えています。しかし、複業にはリスクが伴うことも事実です。
今回は、複業に挑戦するパイオニアたちの実践と題して、複業に取り組む方々の熱い想いや具体的な行動を紹介します。彼らがどのようにリスクを乗り越え、成功を収めたのか。
複業への挑戦を検討される方の参考になればと思います。
磯部 健太 さん|都庁職員
薬品会社での営業職を経て、人々や社会に貢献する仕事を求めて2010年に東京都に入庁。多岐にわたる部署での経験を活かし、現在は報道課で都知事の会見やメディア対応を担当。また、2019年9月からは複業としてクリエイティブな活動にも挑戦。アカウント名「誰か私に名前を。」で独自のミュージックビデオ制作やイベントのテーマソング、起業家向けプロモーションビデオを制作。個人活動にとどまらず、「TEAM_D」というクリエイティブチームの代表としても多角的に活動中。
ご自身の経歴や現在の活動について教えてください。
大学を卒業した後、地元である宮城県の薬品会社に営業職として就職しました。期間は1年4ヶ月でしたが、その間にも多くの経験を積みました。営業職という性質上、利益を上げることが求められる仕事でしたが、市場には自社よりも安くて成分が優れた製品が多くあり、そのような状況で商品を売り続けることに、何となく「本当に誰かの役に立っているのか」という疑問が湧いてきました。
このような思いから、利益追求だけでなく、人々や社会に貢献できる仕事はないかと考えました。その結果、公務員という職種が私の理想に合致すると感じ、2010年4月に東京都に入庁しました。東京都での仕事は多岐にわたり、給与計算、契約管理、経理、さらには長期計画の策定など、多くの部署で業務を経験しています。現在は、都知事の会見やメディアとの取材対応を担当する報道課で活動しています。
2019年9月からは、複業としてクリエイティブな活動も本格的に始めました。アカウント名「誰か私に名前を。」として、音楽、イラスト、漫画を組み合わせた独自のMV(ミュージックビデオ)制作をはじめ、イベントのテーマソングや起業家向けのプロモーションビデオ(PV)の制作なども手がけています。個人活動だけでなく、「TEAM_D」というクリエイティブチームの代表としても、多角的に活動を展開しています。
複業や起業を始めたきっかけや動機はなんだったのでしょうか?
都庁という規模の大きな組織で働いていた時、自分が「人の生活に直接貢献している」と感じる瞬間が少なかったんです。毎日多くの時間を仕事に費やすことに疑問を感じ始めました。そこで、自分のスキルをもっと活かして、人に何か良い影響を与えられないかと考え、学生時代に熱心に取り組んでいた音楽が、その手段として適しているのではないかと思いました。
都庁での仕事は主にデスクワークで、都民と直接対話する機会がほとんどありませんでした。そのため、「ありがとう」と感謝される瞬間も少なかったです。もちろん、都庁には都民から直接感謝される部署もありますが、大きな組織では自分の希望通りに異動するのは難しい。そこで、自分で何か新しいサービスを提供して、直接「ありがとう」と言われる瞬間を増やそうと考えました。
そんな時、知人から「nana」という音楽アプリを勧められました。このアプリで音楽を投稿すると、多くの人からポジティブな反応を得られたんです。それがきっかけで、音楽のスキルをさらに磨いて、より多くの人に貢献できるのではないかと考えました。社会人になってからは音楽から遠ざかっていたので、最初はこのアプリでリハビリとして歌の力を取り戻すための活動を始めました。その後、TwitterやYouTubeでの活動にシフトしました。
音楽活動を始めてほどなくして、「元気をもらえました」「声に癒されました」「素晴らしい楽曲、ありがとう」といった感謝の声をいただくようになりました。これらが、私にとっては非常に励みになりました。ただ、次のステップに進むためには、この環境を離れる必要があると感じ、音楽アプリでの活動を終了して、Twitter(フォロワー 0)での活動に全力を注ぐことにしました。
複業を始める以前は、どのようなキャリア観を持っていましたか?
以前は公務員として働くことが目標で、その中で管理職に昇進し、最終的には退職するという、非常にシンプルなキャリア観しか持っていませんでした。具体的な「自分がどうありたいか」や「どのような人生を送りたいか」といった考えは、ほとんどありませんでした。
しかし、ある日電車の中で偶然見かけたビジネス関連の動画で、経営者の方が語る「起業する際の心構え」に触れ、自分の人生について深く考えるきっかけが生まれました。その結果、夢を持ち、その夢に向かって一生懸命になることが、自分自身が最も充実した生活を送る方法だと気づきました。
社会には「社会人だから」「大人だから」といった理由で、好きなことを追求するのは難しいという先入観があります。特に公務員には「副業禁止」という制約があり、それが多くの人々の挑戦を抑えていると感じています。しかし、私は仕事を一つにしぼらず、たくさんの選択肢の中から自由に選び、試していくことが、人生をより豊かにすると感じています。
音楽活動においても、歌や作曲、音楽編集だけでなく、マーケティングやコピーライティング、セールスといったビジネススキルが必要だと気づきました。その結果、新しい人脈が広がり、自分自身の人生の選択肢が広がっていきました。
もし「自分がどうありたいか」を考えられないという方がいれば、興味のある分野で学び、挑戦を続けることをおすすめします。毎日の行動が積み重なることで、自分が本当にやりたいことが見えてくるはずです。日々の生活を単なるルーティーンとして過ごすのではなく、自分の内なる欲求と向き合うことが大切です。
ターニングポイント
- 1998年
中学生の頃にアコースティックギターに出会い、曲を作り始める - 2007年
大学卒業後の就職、「利益追求」への疑問を持ち始める - 2010年
人々や社会に貢献できる仕事として都庁に転職 - 2019年
音楽活動を複業と捉え、「働き方」に対する新しい価値観を得る - 2023年
ボイストレーナーとしての活動やマーケティングなどのビジネススキルの習得を始め、複業の幅を広げる - 現在
マーケッター、コンサルタントとしての活動を始め、独立に向けた準備を開始
複業を始める上での最大のリスクは何だったのでしょうか?
それをどう乗り越えたのでしょうか?
都庁での複業は前例がなく、時間管理がとても厳しいという点が大きなリスクでした。私はSNSで「都庁職員」として積極的に発信し、公務員としての業務を一切おろそかにしないという姿勢を持ち続けました。時間管理に関しては、業務の緊急度と重要度をしっかりと評価し、効率的に仕事を進めるよう心がけています。その結果、業務に支障をきたすような事態は発生していません。
現在の社会は、一つのスキルだけで生涯を送るような時代ではありません。SNSが広く普及している今、自分の好きなことを見つけて、それを育て、発信することが可能です。前例がないからといって、それがリスクになるわけではないと考えました。失敗や停滞をリスクとは見なず、それを経験として受け入れるマインドセットが重要だと思います。
以前は、都庁での日常が「これが普通」という感じで、何も問題ないと思っていましたが、都庁の外に一歩踏み出すと、無限の可能性が広がっていることに気づきました。年齢に関係なく、好きなことに挑戦できる自由があります。
音楽活動を通じて、多くの人から感謝の言葉をいただくようになりました。公務員としての仕事ではなかなか感じられない、受け取り手からの直接的な「ありがとう」という言葉。感謝を受ける機会が少ないと仕事に対するやりがいを感じにくいかもしれません。ただ、それが「普通」と考えるのは思考停止に陥っているだけなのかもしれません。
複業を始めるにあたって特に心がけたことや、精神的に厳しかった瞬間はありましたか?
大切にしたのは、何が自分にとって最も喜びや幸せをもたらすのかを明確にすることでした。そのために、自分が望む未来をしっかりと具体的に頭に描きました。そして、そのビジョンに向かって、多くの作品を生み出し、応援してくれる人を増やすために積極的に行動しました。
限られた時間の中で活動を行うためには、常に最短距離で目的を達成していけるよう、活動の方向性や基本的な信念をしっかりと定めました。それによって、行動にブレが出ないように努めました。また、自分にとっての幸せが「他人が喜ぶこと」だったので、すべての作品制作や発信活動を「顧客思考」で進めました。行動面では、日々の努力を怠らないように心がけました。成功には、地道な努力が必要です。どれだけ忙しくても疲れても、毎日最低でも1時間は音楽の練習や制作、そして勉強に時間を割きました。
もちろん厳しい時期もありました。音楽制作だけでなく、練習やビジネススキルの向上も必要で、時間と体力が限られていました。それはもはや「好きだからできる」というレベルを超えていました。そんな厳しい状況を乗り越えるために、二つのことを決めました。一つ目は「マインドセット」。成功者や起業家のインスピレーションを得るために、そのような人の動画を積極的に視聴しました。二つ目は「行動のルーティン化」。モチベーションが変動しても行動が崩れないように、日常のあらゆる時間帯での活動を習慣化しました。
複業を進める過程で、サポートしてくれる人々やネットワークは存在しましたか?
私自身、「TEAM_D」というチームを組織して活動しています。情報発信や外部との調整が一人では難しくなった際に、チームを結成することにしました。活動を通じて出会った仲間と、必要に応じて連絡を取り合いながら協力し合っています。
チーム運営において重視しているのは、ただ単に「私の手足となって動く人」を集めるのではなく、チームメンバーそれぞれの夢や目標も共に叶えられるような活動の方針や事業プランを作ることです。この点が非常に重要だと考えています。
そして、何より大切なのは、自分自身が行動と結果で示すこと。言葉だけでなく、実際に成果を出して「私の方針に賛同して、一緒に進もう」と呼びかけ続けることが、このような運営スタイルを成功させるカギとなっています。
配信アプリstand.fmの関連イベント「スタふぇす2023 in 札幌」のテーマソングの制作を担当。クリエイションチーム「TEAM_D」でMVを制作。
最後に今の仕事や自身のキャリアに悩む方々へのアドバイスをお願いします!
多くの人が「今の仕事をやめたら、生活のクオリティが下がるのではないか」とか「転職するという選択はリスクが伴う」といった不安や疑問を感じていると思います。そんな時、ひとつの新しい視点として「副業」や「複業」を検討してみてはどうでしょうか。これによって、自分自身のスキルや可能性をさまざまな視点で見つめなおせるだけでなく、これから働き方が多様化していく世の中にも適応できるようになると思います。
「好きなこと」や「挑戦してみたいこと」に対して目をそらさず、自分の心としっかりと向き合うことが大切です。そうすれば、自分らしい、そして満ち足りた人生が手に入ると思います。私自身、公務員という副業に対するハードルが非常に高い職種であるにも関わらず、多様な働き方を実現できました。
ぜひ、新しいチャレンジを通じて、自分の理想とする人生を描いてみてください。
ルーティン化するコツや継続するために工夫していること
「インキュベートの法則」を実践しています。この法則は、新しい習慣や行動を始めた際に、最初の21日間は特に集中して取り組むことで、その後習慣化しやすくなるという原則です。どれだけ困難な状況でも、最初の3週間は何とか続けてみることで、その行動が自然と習慣となり、持続しやすくなります。継続するためのコツとしては、毎日自分の夢や目標を具体的に思い描くこと。この習慣が、毎日の行動を前向きに受け入れ、目標に対する情熱を維持する助けとなります。
まとめ
複業に挑む働き方の先駆者たち。彼らから学べることは多いです。行動のきっかけをつかむための心構え、リスクの取り方、具体的な行動のプロセス、そして精神的な負担を乗り越えるためのメンタルの持ち方など。これらは、複業に挑戦したいと考える方にとって、とても参考になるポイントです。
働き方はひとつではありません。複業を通じて、自分自身のキャリアをより豊かに、より確かなものにしていくための第一歩を歩んでください。