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『ジョブ理論』を解説!「ジョブ」の意味、そしてニーズとの違いとは?(名著まとめ)

『ジョブ理論』を解説!「ジョブ」の意味、そしてニーズとの違いとは?(名著まとめ)
2022年7月12日

何かをきっかけに「ジョブ理論」を知ったものの、具体的な内容が掴めずにいる人もいるでしょう。しかし多くのビジネスでは非常に参考となる理論であり、把握しておくことで活かせる場面も決して少なくはありません。

課題を克服して成果を上げるための重要な考え方の一つとなります。本記事ではジョブ理論の概要や、これを実践するためのステップなどを解説。業種・職種にかかわらず、思考の変革と具体的な実践により現状を変えたいと考えるビジネスマンは、ぜひ参考にしてみましょう。

ジョブ理論とはどこから生まれたものなのか

ジョブ理論を提唱したのは、ビジネス界でのイノベーションに関する多くの功績を残したクレイトン・クリステンセン氏です。実業家であり経営学者でもあるクリステンセン氏の著書の一つが日本では『ジョブ理論』として発表されています。原題は「COMPETING AGAINST LUCK」で、直訳すると「運に競り勝つ」となるでしょうか。

つまり、イノベーションをはじめとしたビジネスの成功は運だけではなく、その多くは論理的思考や、そこから生まれる具体的な施策・行動がもたらすという主張です。そのために活用されるのが「ジョブ理論」であると認識しておくとよいでしょう。

ジョブ理論とは何か

ジョブ理論とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。説明する中で生じるであろう疑問などとあわせてわかりやすく解説していきます。

ジョブ理論の概要

顧客が商品を選んだり買ったりする背景を知り、商品の開発やイノベーションに活かすのが「ジョブ理論」です。ジョブ理論では、顧客の抱える課題などを「ジョブ」と表現しています。ジョブを解決できる商品の開発や提供ができれば、顧客に選んでもらうことができるでしょう。

「〇〇が欲しい」ではなく、「〇〇をなんとかしたい」という、顧客の課題、目的、欲求などにフォーカスしている点が大きな特徴です。

ジョブとニーズとの違い

商品を企画・開発する際に、企業はしばしば顧客のニーズを考えます。ジョブ理論では、顧客の解決したい課題などをジョブと呼びますが、これはニーズとは異なるものと解釈するべきでしょう。ニーズは、顧客が商品を具体的に手にとる理由や現象を指します。意識がすでに一定の商品に向けられており、課題の解決や目的の達成に必要なものを顧客がすでに理解していると考えらます。

ニーズが発生している時点で、顧客は選択肢を絞り込んでいるのです。一方でジョブは、ニーズが生まれる前の段階の人がもつ欲求や欲望といえるでしょう。もしくは、漠然とした感覚や感情である場合も少なくありません。商品の有無に関係なく、人が内側に抱える問題や課題などがジョブなのです。

例えば、誰かが「健康的な体を手に入れたい」と考えたとき、この感情や感覚、目的はジョブとなります。そのジョブをきっかけとして、「自宅で手軽にできる健康グッズが欲しい」と考え具体的に商品を探し出したのであれば、その行為や具体的な商品に向けた意識がニーズとして表面化したことになります。

従来のマーケティングではニーズにフォーカスするため、企業はどのような健康グッズを開発するかを考えがちでした。しかし、ジョブにフォーカスすると他にも選択肢があることに気づきます。健康のためのレシピでもよいでしょうし、スマホで視聴しながら自宅でエクササイズが行える動画配信サービスでもよいでしょう。

この選択肢の増加と、顧客の課題解決や目標達成のための商品を新たに開発・提供できる可能性を広げられる点がジョブ理論の特徴であり、いわゆるニーズを探るマーケティングとの違いです。

ジョブはニーズの源泉であり、顧客の消費行動の根源であるともいえるでしょう。イノベーションを起こし、世の中のニーズを満たすだけではなくニーズを湧き出させる商品を生み出すにはジョブへの着目が不可欠なのです。

ジョブと表現される理由

ジョブ理論において人が抱える課題や目的などがジョブと表現されるのは、これらが多くの人にとって自己を満たすために不可欠であり成長や発展に欠かせないものであると考えられるためです。社会において、仕事とはまさにそのような役割を担っているのではないでしょうか。

ジョブと表現することで、より顧客が必要性を感じているものにフォーカスをし、それが画期的なイノベーションの創出やニーズを満たす商品の企画・開発に役立つと捉えることができるでしょう。

また、ジョブをこなすために顧客が商品を購入することを、ジョブ理論では「雇用」と呼んでいます。商品を雇用することで自らの課題を解決したり目的を果たしたりするわけです。

同時に、解雇される商品が出てくることもあるでしょう。上記の健康グッズの例でいえば、最新式の健康グッズを雇用したのであれば、以前に雇用したけれども現在ではほぼ使うことなく放置されており自宅のスペースを占領しているだけのぶら下がり健康器は解雇される可能性が高まります。

ジョブ理論のステップ

ジョブ理論を実施するためのステップを簡単に解説します。自らの業務に取り入れながら、新しい価値観の創造へと活かしていきましょう。

ジョブの探索・発見

ジョブハンティングとも呼ばれますが、まずは顧客のジョブを探る必要があります。場合によってはこれまでのマーケティング方法やデータなどを手放し、一からジョブの探求に努めなければいけません。

商品雇用のストーリーの模索

ジョブが掴めたら、顧客に商品を雇用してもらうためのストーリーを模索します。商品によりアプローチ方法は異なるため、この時点では大まかなストーリーを作り上げておきましょう。あくまでもジョブにフォーカスをして、企業のもつ先入観や固定観念から距離を置くことが求められます。

雇用される商品の開発・提供

ジョブの発見と雇用までのストーリーがある程度構築できたら、具体的に商品の開発と提供までの道筋を考えます。ジョブにより商品の内容はもちろん、顧客に雇用してもらうまでのプロセスも異なるでしょう。高級路線でいくのか、無料サービスを設けるのか、販路は小売店か直営店かECサイトかなど、ジョブにマッチした販売戦略を立てる必要があります。顧客が雇用に壁を感じているのであれば、それを取り払ったり下げたりする工夫も必要です。

顧客のジョブの達成を検証

商品開発には検証と改善が欠かせません。実際に顧客のジョブを解決・達成できたのかについて情報を集めましょう。商品の改善に必要なポイントや、次の商品開発に活用できる新たなジョブの発見も期待できます。

ジョブ理論の活かし方

ジョブ理論は、めまぐるしく変化する時代にこそ求められる考え方です。企業は、しばしば顧客のニーズを勝手に解釈し、企業本位的な製品やサービスを提供してしまいます。それでうまくいくこともあるでしょう。しかし、ギャップが生じているケースも少なくありません。

ビジネスマン個人としても、「よいものを作っているのに、なぜ売れないのか」、「なぜ自分が魅力的に感じない商品が世の中に受け入れられているのか」と考えることがあるのではないでしょうか。その思考はジョブ理論には必要ないため、すぐに距離をおきましょう。

顧客の抱える課題や目的に寄り添うことでしかみえてこないものがあり、その行為によってのみ生まれるイノベーションや商品があるという考え方がジョブ理論の重要なポイントです。

この考え方は、どのような業種・職種、そしてさまざまな課題や問題にも活かせるでしょう。視点を顧客のみならず、先輩や上司などに置き換えることでも成り立ちます。人間関係の構築に応用することも可能なのです。

ジョブはニーズよりも掴みづらいもののため、この理論を遂行するには先入観や固定観念を排除するなど、より柔軟な考え方が求められます。だからこそイノベーションが生まれると理解しつつ、自らの業務や役割に新たな可能性や意味を見出すことが重要となってくるでしょう。

ジョブ理論を活用して自らにイノベーションを起こし成果を最大化しよう

顧客の抱える課題や目的をジョブとし、それらを解決・達成することにフォーカスすることでイノベーションを創出する考え方が「ジョブ理論」です。

その意味を理解・活用できれば、業種や職種問わず成果があげられるでしょう。そのためには先入観や固定観念を払拭しなければいけません。

ジョブ理論をもとに新しい価値や可能性を常に意識することで、ビジネスマンとして次のステージに上がることができるのではないでしょうか。