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基盤技術とコア技術|製造業における技術力の活用と新規事業のポイント

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製造業が市場で勝ち抜くための大切な土台となるのは技術戦略です。

企業が持つ広範な技術の基礎である基盤技術と、その企業だけの特色を出すコア技術の違いを把握し、これらをうまく使いこなすことは、事業を進める上でとても重要です。基盤技術はあらゆる分野で使える万能な技術であり、会社の成長を支える力となります。

一方で、コア技術はその会社の顔ともいえる技術で、この技術を守ることは、他社との差別化を実現するために不可欠です。

この記事では、これらの技術が新しいビジネスを始める際にどのように活かされるのかを、詳細に解説します。

基盤技術の役割と重要性

基盤技術は、製造業が新しい価値を生み出し、市場の変化に柔軟に対応するために不可欠です。広範囲に渡る応用が可能なこれらの技術は、多くの産業分野における革新的な発展を支え、新しいビジネスモデルの構築にも不可欠な役割を果たします。

ナノテクノロジーのように医療からエネルギー、エレクトロニクスまで広範な分野で利用される基盤技術は、企業が市場で独自の地位を築くための基盤となり、将来の展望を描くことは、事業成長の方向性を定める上で重要です。

戦略的なアプローチで、市場のニーズや競合他社の動向を分析し、どの技術が企業の将来にとって最も重要かを判断し、新規事業の開発コストやリスクを最小限に抑える計画を策定することが、成功へのカギとなります。

中小企業が保持する先端基盤技術の概要

以下に、中小企業が有する高度な基盤技術の例を紹介します

基盤技術の例

金属プレス加工技術

量産製造に適したこの技術は、様々な金属製品の部品製造に不可欠です。精密な加工が可能であり、新材料や加工が難しい材質にも対応しています。部品の小型化、軽量化、生産効率の向上に寄与しており、業界のイノベーションを推進しています。

鋳造技術

複雑な形状の製品を効率良く製造できる技術で、自動車や家電製品など、組み立て業界で必要とされる多様な部品の生産に使われています。

鍛造技術

材料に必要な強度を付与し形成する技術で、特に自動車業界の安全部品製造に欠かせません。

切削加工技術

不要な部分を取り除くために広く用いられる加工技術で、金型製造など、直接的・間接的に幅広い製品の製造プロセスに関わっています。

金属熱処理技術

製品の形状を維持しつつ、強度や耐久性を向上させる技術で、自動車や発電機、航空機などの重要な部品製造に不可欠です。

めっき技術

素材の表面に特定の機能を加える技術で、自動車部品や電子機器部品など、多岐にわたる産業で活用されています。電子部品においては、導電性や耐熱性を向上させるために特に重要です。

これらの技術は、それぞれが産業界の製品品質、生産性、コスト削減に深く影響を及ぼしており、特定の産業に特化し進化を遂げています。その影響は、適用される製造プロセスや製品によって異なります。

参照:
中小企業群が有する高度基盤技術の例(内閣府ホームページ)

コア技術による競争力の強化

コア技術は、企業が市場で独自性を打ち出し、競争において優位性を確立するための技術です。事業の本質的な部分を形成し、競合との差別化を図るための企業の戦略的要となります。

コア技術の保護と管理は、企業のブランド価値を高め、投資家やステークホルダーに対する信頼を構築する上でも重要な役割を果たします。市場でのリーダーシップを確立するためには、たんにコア技術を持つだけでは不十分で、イノベーションを継続し、市場の変化に敏感に反応する能力が求められます。

市場分析、顧客との対話、フィードバックの積極的な取り入れを通じて、企業の市場リーダーシップを確立する基盤となります。

コア技術の事例とその戦略的展開

製造業各分野における主なコア技術について紹介します。

コア技術の例

自動車メーカー
エンジンやボディ製造の技術、自動運転や電気自動車(EV)技術などが自動車製造の基幹技術として位置づけられます。

電子機器メーカー
半導体、ディスプレイ、通信、センシング技術が電子機器の製造における中核技術です。

化学メーカー
界面化学、分子設計、高分子合成技術が化学製品製造の鍵を握る技術として挙げられます。

機械メーカー
精密加工、制御、ロボット、3Dプリンタ技術が機械製造におけるコア技術です。

企業の競争力と独自性は、コア技術によって大きく左右されます。これを戦略的に展開することは、成長とビジネス展開のカギとなります。社会課題への対応としても、技術の革新は不可欠です。

キヤノンのように、既存技術と新たな技術の融合から新ビジネスを創出する事例が示すように、異分野のアイデアや意外な発見がイノベーションを促します。未来を見据えたコア技術開発には、既成概念にとらわれず、理想を追求するバックキャスティング思考が必要です。これにより、改善を超えた技術革新を実現できます。

製品の基本機能を構築する要素技術

要素技術は、製品開発において骨格のような存在です。これらは、製品の基本機能を構築するために組み合わされる複数の小さな技術の総称であり、高度な専門知識が必要とされます。

要素技術の発展は、製品の性能向上やコスト削減に直結し、市場での競争力を左右する要因となります。企業は、これら要素技術の発展に投資し、製品の差別化や品質の向上を図ることが求められます。また、要素技術はしばしば特許によって保護され、企業の知的財産としての価値を持ちます。

競争が激しい市場においては、要素技術の開発と保護が企業の生存と成長を左右する可能性があるため、戦略的な知的財産管理が求められます。

要素技術とコア技術の相違点

製品やサービスの構築には多くの技術が絡み合いますが、それらは大きく「要素技術」と「コア技術」に分類されます。二つは似て非なる存在で、それぞれ異なる役割と重要性を有しています。

要素技術とコア技術の相違点

要素技術

これは製品やサービスの品質、機能、コストといった側面を形成する基本技術です。例えば、スマートフォンの製造においては、画面技術や通信技術が要素技術に当たります。これらは製品を市場で競争させるための必要条件を満たしますが、単独では競争優位を決定づけるものではありません。

コア技術

一方、コア技術は企業が市場において競争優位を確立するための中核となる技術です。これは、企業の特色や強みを象徴する技術であり、製品やサービスの差別化を実現する重要な要素です。アップル社がiOSに関する開発技術をコア技術と位置づけているのはその一例です。

近年では、製品のコモディティ化が進む中で、企業はコア技術を特定し、その開発と評価に力を入れています。企業の長期戦略の中で、コア技術は中長期的な競争力の源泉となり得るため、その棚卸しと戦略的な強化が求められています。

要素技術とコア技術の違いは、企業ごとにその技術が製品やサービス、市場内でどのような位置を占めるかによって決まります。結局のところ、これらの技術がどのように組み合わさり、企業の競争力に貢献するかが、その企業が市場で成功するかどうかの鍵を握っているのです。

技術戦略を立てる

技術戦略の策定には、企業のビジョンと市場のニーズの両方を理解することが必要です。長期的な視点を持ち、事業の将来の方向性を定めることは、持続可能な成長に欠かせません。

技術の発展速度や市場の動向を見極め、持続可能な競争優位を築くための戦略を策定することが、技術戦略の成功には不可欠であり、戦略の実行には、社内外のリソースを統合し、新たな技術の研究開発に積極的に取り組むことが求められます。

社内での研究開発だけでなく、大学や研究機関との連携、さらには異業種とのコラボレーションによって、イノベーションを加速させることができます。こうした多角的なアプローチが、企業が技術革新においてリードを取るためには必要です。

製造業における技術戦略は、革新的な製品開発を実現し、市場での競争力を高めるための基盤となります。基盤技術、コア技術、要素技術といった異なる種類の技術を理解し、これらをうまく組み合わせて活用することが、事業を成功させるための肝となります。

企業は、技術戦略の策定と実行を通じて、市場のニーズに応え、持続可能な成長を達成するための道筋を描くことが求められます。

技術力を活用した新規事業

技術力を核とした新規事業の展開は、今日の競争が激化するビジネス環境において、企業の継続的成長と市場における革新をもたらす重要な要素となります。新技術の開発とビジネスモデルの再構築がその中心を成す作業であり、AIやビッグデータといった技術を活用して、医療から金融、教育といった多岐にわたる産業へカスタマイズされたソリューションの提供が可能です。

特に、中小のものづくり企業においては、新市場開拓が主要な戦略として浮上しています。これは、技術力の強化とそれに伴う信頼の獲得、新規依頼への応答を通じて、意図せず新しいビジネスチャンスに繋がる事例が多いためです。そのため、自動車の電動化のような市場のシフトによってもたらされる危機感に対応するためには、自社の強みやビジョンを明確にし、非技術的な経営資源を再考し、外部との協業を積極的に推進することが重要です。

企業が新規事業において直面する課題は多岐にわたりますが、「待ちの姿勢」からの脱却と、自社のコア技術に対する深い理解、市場ニーズの把握といった点が特に重要です。自社にしかできないコア技術を磨き、特許を取得してパートナーとしての地位を確立し、ニッチな市場での技術力の向上を図ることが成功への近道と言えるでしょう。

このような変化に対応するためには、経営者と社員が継続的な変化を受け入れ、危機感を持ちながらも新規事業の開発に取り組む姿勢が不可欠です。既存事業への依存から脱却し、事業ポートフォリオの組み換えや成長分野へのシフトを図ることで、企業は新たな市場での競争力を築いていくことができます。

オープンイノベーションを通じて外部のアイデアや技術を取り入れ、スタートアップやアカデミアと協業することは、技術の多様性と進化を促進する一方で、顧客の声を製品開発に反映させることで顧客満足と事業成功の両立を目指します。

最終的に、技術力を社会に対する貢献と組み合わせることで、企業は社会的課題の解決に貢献し、サステナビリティを実現すると同時に、新規顧客層を開拓していくことが可能です。技術と社会意識の融合は、単に利益を追求するだけでなく、持続可能な未来を築くための基盤となり得るのです。

参照:
中堅・中⼩ものづくり中⼩企業における新規事業開発の要諦(概要版)令和5年3月

まとめ

技術戦略とは、会社の将来を見据えて技術を選択し活用する計画です。基盤技術は、さまざまな産業で応用される幅広い技術のことで、会社が持続的に成長するための土台を築きます。一方、コア技術は、会社の特色を示し、他社との差をつけるための独自の技術です。要素技術は製品の基本機能を支える小さな技術の集まりで、製品を特別なものにするために重要です。

企業が新しい市場に挑戦する時、これらの技術をどう組み合わせて利用するかが、成功の鍵を握ります。例えば、AIやビッグデータといった最新技術を使って、医療から金融まで、多岐にわたる業界に合わせた新しいサービスを開発することができます。

また、オープンイノベーションを通じて、外部からの新しいアイデアや技術を取り入れることで、企業はより革新的な事業を生み出せます。このようにして、技術力を活かした新規事業は、企業の成長だけでなく、社会全体にも良い影響を与える可能性を秘めています。将来に向けて企業がどう成長していくかは、これらの技術戦略がいかにうまく実行されるかにかかっています。