副業や複業は、収入源を増やすだけでなく、新たなスキルを磨く機会ともなります。
しかし、その一方でさまざまなリスクも伴います。長時間労働による健康被害、職務懈怠による業績低下、情報漏洩や競業・利益相反による法的問題、税務上の課題など、副業・複業を始める前に知っておくべきことは多いです。
この記事では、これらのリスク確認し、副業・複業を安心して始めるためのポイントを整理していきます。副業・複業のチャレンジを考えている方、すでに始めている方も、ぜひ参考にしてみてください。
副業や複業を始める際には、そのリスクを理解しておくことが重要です。ここでは、副業や複業に関わる主なリスクとその対策ついて解説します。
長時間労働による健康被害や労働基準法違反
副業や複業を始めると、一日の労働時間が増えることが多いです。これにより、過労やストレスが溜まり、健康被害を引き起こす可能性があります。
特に、業務委託契約の場合、原則として労働基準法は適用されません。これは、業務委託契約が「使用者」と「労働者」という主従関係にない独立した事業者間の契約であるためです。
ただし、業務委託契約の内容や実態によっては、「労働者性」が認められる場合があります。労働者性とは、使用者の指揮命令下にあって、一定の時間・場所で労働を行うことを指します。このような場合には、労働基準法が適用される可能性があります。
長時間労働のリスクを回避するために
長時間労働には、健康被害や労働基準法違反のリスクがあります。これを回避するためには、労働時間の管理が必要です。具体的には、副業の時間を明確に設定し、それを超えないようにすることが有効です。ただし、具体的な時間設定は、労働基準法や各企業の規定、個々の労働契約に基づくものであるべきです。
また、休息時間を確保することも重要です。具体的には、労働後に適切な休憩を取るなど、自分自身の健康を守るためのルールを設けると良いでしょう。しかし、具体的な休憩時間は、労働基準法や各企業の規定、個々の労働契約に基づくものであるべきです。自分の健康を守るため、そして法的要件を遵守するために、これらの点を考慮することが重要です。
参考：
副業・兼業の促進に関するガイドライン（令和２年９月改定、厚生労働省）
集中力やエネルギーが分散される可能性
副業を行うことで、本業に対する集中力やエネルギーが分散される可能性があります。
時間と体力には有限であるため、本業と副業の両方にエネルギーを割くと、その結果、本業で十分に成果を発揮することが難しくなることがあります。これにより、業務の成果が低下することで、かえって周囲からの信頼を失う可能性があります。
業績低下のリスクを回避するために
副業により本業の業務成果が低下するリスクを避けるためには、本業と副業の優先順位を明確にすることが重要です。本業の業務時間内に副業を行わない、または、副業の時間を設定してそれを超えないようにするなど、自己管理が求められます。
例えば、本業の業務時間内はスマートフォンの通知をオフにする、副業は本業の業務が終わった後や休日に行うなどの工夫が必要です。
情報漏洩による企業の損害と責任
副業や複業を行う際には、本業の情報を漏洩しないように注意する必要があります。
例えば、本業で扱う顧客情報や業績情報、技術情報などを副業先で利用したり、第三者に漏らしたりすると、情報漏洩になります。これにより、企業の損害を引き起こすだけでなく、法的責任を問われることもあります。
情報漏洩を防ぐための対策
情報漏洩を防ぐためには、本業で得た情報を副業で利用しないことが必要です。
例えば、本業で得た顧客情報や業務上の情報は副業先に持ち込まない、本業で使用するPCやファイルはパスワード管理するなど、情報管理を徹底しましょう。
競合他社への利益供与や契約違反
副業や複業を行う際には、本業と競合する企業や、本業の利益と相反する仕事を避けることが重要です。
例えば、本業が広告代理店である場合、副業で競合する他の広告代理店に勤務すると、競業・利益相反となります。これらは、競合他社への利益供与や契約違反となる可能性があります。
本業と競合しない副業や複業の選び方
本業と競合しない副業や複業を選ぶためには、仕事の内容や関係性に注意が必要です。まず、本業と同じ分野の副業や競合関係にある企業での副業は避けることが望ましいです。
例えば、本業がIT企業であれば、同じIT分野の副業は避け、本業と全く関係のない分野、例えば美容やスポーツなどの副業を選ぶと良いでしょう。
税務上の課題
副業や複業から得た収入は、税金の対象となります。
例えば、副業や複業から年間で20万円以上の収入がある場合、その収入は事業所得や雑所得として所得税の対象となります。適切な申告や計算を行わないと、申告漏れや税金の負担が増すことになるため注意が必要です。
税務上の課題を回避するために
税務上の課題を避けるためには、税法に関する基本的な知識を身につけ、所得税や消費税などの税務処理を正しく行うことが重要です。
必要であれば、税理士などの専門家に相談することも考えましょう。例えば、副業から得た収入に対する所得税の計算方法や、消費税の申告方法などを学ぶことが重要です。
安心して副業/複業を始めるためのポイント
副業や複業を始める際には、ただ追加の収入を得るだけでなく、自分自身の成長やキャリア形成にも役立てることが重要です。ここでは、副業や複業を安心して始めるためのポイントを3つご紹介します。
何を達成したいのか明確にする
副業/複業を始める前に、自分が何を達成したいのか明確にすることが大切です。
追加の収入を得ることはもちろんのこと、新たなスキルを身につけたい、自分の興味や関心を追求したい、キャリアの幅を広げたいなど、目的は人それぞれです。自分の目的を明確にすることで、副業/複業選びの方向性が見えてきます。
本業とのバランスを保ち、健康に配慮する
副業/複業は本業を疎かにするものではありません。
本業とのバランスを保つことが求められます。長時間の労働は健康を害する可能性があるため、適切な休息とリラクゼーションを確保することも重要です。
ビジョンやミッションに共感できるかどうかを確認する
副業/複業先のビジョンやミッションに共感できるかどうかを確認することも大切です。
自分の価値観や目標と合致する企業を選ぶことで、副業/複業も充実したものになります。自分のスキルや経験が活かせる場所を選ぶことで、副業/複業から得られる満足感や成長の機会も増えます。
まとめ
副業や複業は、新たなスキル習得や収入源の増加といったメリットを享受する一方で、それなりのリスクも伴います。本記事で触れた各種リスクや注意点を理解し、適切な対策を講じることが、副業・複業の成功への道筋となります。
それは自己管理や計画性を要求しますが、その結果として得られる成果は、自身のキャリアを一段と豊かにすることでしょう。副業・複業を通じて、自分自身の可能性を広げ、新たな一歩を踏み出す方へ、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
