「今の仕事にやりがいが感じられない…」といった理由から、転職にチャレンジしようとする方は少なくありません。その際、他の人がどういった理由で転職するのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、転職市場も変わりつつある”コロナ禍”を軸に、転職理由や転職市場に関する情報をまとめてみました。
コロナ以降、仕事に対する意識はどのように変わったのでしょうか?
コロナ禍で転職者は増えた?減った?
新型コロナウイルスによって社会が大きく変化したコロナ禍は、当然ながら転職市場にも大きな影響を与えています。この転職市場を知るためにも、まずは転職者数の推移について簡単に見ていきましょう。
転職者はコロナ禍を機に減少
総務省が行った労働力調査によると、2019年ごろまで転職者数は増加傾向にあったものの、2020年から始まったコロナ禍を機に大きく転職者数が減少しているようです。
2019年には350万人以上確認されていた転職者数も、2021年には250万人近くになっています。
転職希望者数は増加
同じく総務省の労働力調査では、転職者数が減少傾向にある一方、転職希望者数が増加しているというデータもあります。
2020年のコロナ禍初期には転職希望者数が750万人近くだったのが、20201年には850万人近くに増加しているようです。
コロナにより転職理由はどう変わったか?
冒頭で解説したように、コロナ禍をきっかけに転職を希望する方は増えています。それに伴って、転職理由にも大きな変化が出てきているのです。
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コロナ禍以前の転職理由TOP10
では、まずはコロナ禍以前(緊急事態宣言が出される前)の転職理由ランキングを見ていきましょう。
1位:社内の雰囲気が悪い(12.5%)
コロナ禍以前は人間関係を重視する方も多く、「社内の雰囲気」が転職理由1位という結果でした。コロナ禍以前にもキャリアアップや給与アップを目的に転職を考える方は多かったですが、意外にも社内の雰囲気をきっかけに転職した方が調査内では一番多かったようです。
2位:業界・会社の行き先が不安(9.7%)
やはり安定した生活を求める方は多く、業界や勤務先の行き先は転職理由としても代表的なようです。
3位:給与が低い・昇給が見込めない(8.7%)
3位にランクインしたのが、給与に関する理由でした。給与アップを目的に転職を考える方も多いようで、4位以降とは約3%以上の差をつけています。
4位(同率):人間関係が悪い、うまくいかない/ハラスメントがあった(5.9%)
4位は1位との関連性が高い”人間関係”と”ハラスメント”が同率でランクインしています。社内の雰囲気と合わせて、やはり職場の環境は転職の有無に大きく影響するようです。
6位:スキルアップしたい(5.5%)
向上心が高い方が転職するケースも多いようで、「スキルアップがしたい」理由が6位にランクインしています。
7位(同率):個人の成果で評価されない/雇用形態を変えたい(4.5%)
同率で7位にランクインしたのが、評価してもらえない、雇用形態を変えたいというものです。成果に対する評価を求める方も多く、全体の4.5%を獲得しています。また、アルバイトなどから正社員になろうと考える方も、転職して根本的にキャリアを変えることが多いようです。
9位:尊敬できる人がいない(3.8%)
意外にも9位にランクインしたのが、「尊敬できる人がいない」というものでした。人間関係と同様、職場において尊敬できる先輩・同僚の存在を求める方も少なくなかったようです。
10位:他にやりたい仕事がある(3.5%)
10位にランクインしたのが、「他にやりたい仕事がある」です。キャリアチェンジを希望する場合、兼業ではなくそのまま転職するケースが多く、全体の3.5%がキャリアチェンジを理由に転職したとしています。
コロナ禍の転職理由TOP10
コロナ禍以前の転職理由は、コロナ禍を機に大きな変化を遂げています。
その違いを見るためにも、次は同調査のデータをもとに、コロナ禍における転職理由のランキングを紹介していきます。
1位:給与が低い・昇給が見込めない(9.7%)
コロナ禍以前には3位だった給与・昇給の転職理由が、コロナ禍では1位にランクインしています。コロナ禍を機に将来に対する不安から貯金を重視したり、会社の売り上げが低迷して給与を減給したりするケースも増えたのも、給与・昇給が転職理由1位となった要因だと言えます。
2位:スキルアップしたい(8.0%)
意外にも2位に急上昇したのが、「スキルアップしたい」という理由です。コロナ禍でリモートワークが増えた影響から自己研鑽・趣味に割く時間も増えたことに加え、企業の求める人材のレベルが上がっているという状況も背景にあると言えるでしょう。
3位(同率):業界・会社の先行きが不安/倒産,リストラ,契約期間の満了(7.3%)
コロナ禍以前には2位にランクインしていた「業界・会社の先行きが不安」に加え、会社の倒産やリストラ、契約期間満了が同率3位にランクインしました。将来的に倒産やリストラを危惧する方がいる一方、実際に倒産やリストラで失職した方も多いようで、ランク外から7.3%の割合で3位になっています。コロナ禍における倒産・リストラを機に転職をし始めた方が多いことがわかります。
5位:ハラスメントがあった(6.2%)
コロナ禍以前とほぼ同位にランクインしたのが「ハラスメントがあった」です。ただ、コロナ禍以前は5.9%だった割合が6.2%に増えているため、ハラスメントを機に転職した方が増加していることがわかります。
6位:人間関係が悪い、うまくいかない(5.9%)
6位には4位だった人間関係の理由がランクインしていますが、転職理由としての割合はほとんど5.9%とほとんど変化していないため、コロナ禍における変化はあまりないと言えます。
7位:他にやりたい仕事がある(5.2%)
7位にはコロナ禍以前には10位だった「他にやりたい仕事がある」がランクインしており、キャリアチェンジに興味を示す方が増えたようです。コロナ禍の影響で業界の売り上げ・需要も変化しているのをきっかけに、キャリアチェンジを考え始めた方も多いのでしょう。
8位:会社の評価方法に不満があった(4.8%)
コロナ禍以前に7位にランクインしていた「個人の成果で評価されない(4.5%)」と同じく、「会社の評価方法に不満があった」という理由が8位にランクインしています。割合は0.3%ほど増えているため、コロナ禍で会社の評価方法に注目する方も増えているのがわかります。
9位(同率):働く場所を変えたい/不規則な勤務をやめたい、土日祝休にしたい(4.2%)
同率9位にランクインしたのが、「働く場所を変えたい」や勤務形態に関する理由でした。コロナを機に実家へ帰る方も増えたことによって、働く場所を変えて地元で働こうと考える方も増えており、Uターンしたい理由から働く場所を変えたいと答えた方も多いようです。また、同率9位に「不規則な勤務をやめたい、土日祝休にしたい」がランクインしていることから、コロナ禍をきっかけに不規則な勤務形態に不満を持つ方が増えていることもわかります。
情報を集めて転職市場を理解しよう
調査の結果から、コロナ禍では倒産やリストラが原因の失職、給与アップなどが転職理由として増えていることがわかります。
やりたいことが明確に決まっていない方でも、転職をしている方は多くいるのです。
これから転職を考えている方も、ここでの内容を参考にし、転職市場の状況を理解しておくと良いでしょう。
コロナ以降の転職市場について、情報収集として転職エージェントの活用もおすすめです。