心理的安全性の効果とは?人や組織の生産性を高める方法について解説

心理的安全性の効果とは?人や組織の生産性を高める方法について解説
2021年9月18日

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働くうえで職場の環境は重要なポイントです。仕事に取り組みやすいか、メンバーと良好な関係を築けるかなど、就職や転職での配属先の職場環境は気になるところです。

ただ、職場は仲の良い友人を探す場所ではないという意見もあるでしょう。

グーグルが行った調査では、気兼ねなく意見を出しあえるチームは生産性が高いという結果が出ました。

このグーグルの調査により、心理的安全性が注目されるようになりました。

監修
森田 秀司 さん

大学卒業後、外食産業で約3年勤務。その後人材サービス業界で大中小様々な企業の採用支援を21年経験後、創業30年の大阪市の音響、映像システム設計、施工会社で人事総務課長。人材紹介の仕事について日々思うことをnoteで配信中

大学卒業後、外食産業で約3年勤務。その後人材サービス業界で大中小様々な企業の採用支援を21年経験後、創業30年の大阪市の音響、映像システム設計、施工会社で人事総務課長。人材紹介の仕事について日々思うことをnoteで配信中

心理的安全性とは

心理的安全性とは「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」の日本語訳です。

チームで仕事を行う際、自分の発言や行動をメンバーから拒絶されたり、罰を与えられたりする心配がない状態のことをいいます。

つまり、「チームは安全な場所」という信念を、一緒に仕事をするメンバー同士で持てることを言います。

心理的安全性があるチームだと、「恥ずかしい」や「怖い」などの感情が少なくなり、穏やかな雰囲気で働けます。

その結果、さまざまな意見が出て、生産性も高められるのです。

グーグル社の調査から注目される

心理的安全性は、米国のグーグル社が発表した調査報告によって注目されるようになりました。

グーグル社は2012年~2016年に「プロジェクトアリストテレス」と呼ばれる労働改革プロジェクトを実施し、「心理的安全性が生産性を高くする要素」と発表したのです。

心理的安全性が高いチームほど、プロジェクト開始時や評価時に、建設的な話し合いができていました。

この調査報告が全世界に広がり、心理的安全性の重要性が知られるようになったのです。

心理的安全性の効果と高め方

チーム内の心理的安全性を高めると、メンバーの心配や不安・恐怖などが少なくなります。

また、意見交換も活発になりやすいです。安心して仕事ができるようになると、集中力も高まります。

よって、生産性を高める効果があるでしょう。

さらに、意見や提案しやすい雰囲気があると、問題点を見つけ、分析や評価・改善がしやすくなります。

企業にもたらすメリットとは?

生産性が高まることにより、企業の業績は上がりやすくなります。

また、従業員のモチベーションを上げられると、離職する人を減らせるのもメリットです。

人材育成の段階で心理的安全性を高められると、いい人材が育ちます。

そして、優秀な人材の離職も防げるのです。

さらに、報告や連絡・相談などの業務もスムーズになります。

企業や従業員が抱える悩みや課題を認識でき、早急に対策できるのもメリットです。

従業員にもたらすメリットとは?

従業員は安心して仕事ができる環境があると、個人のパフォーマンスが上がります。

やりがいを感じるため、仕事への意欲が高まるのもメリットです。

そして、仕事の成果も出やすくなります。

また、心に余裕があると、さまざまな意見や提案に耳を傾けられるのです。

さらに、「この会社で働き続けたい」という気持ちが生まれると、仲間や会社へ愛着がわきます。

その結果、今後の目標やビジョンが明確になるのです。

心理的安全性の高め方

相手を受け入れる方法として、「1on1ミーティング」を実施するのも効果的です。

1対1で話しながら仕事以外の趣味や心配事などを聞き、信頼し合える関係性を構築していきます。

その際、頑張っているところを褒めたり、感謝の気持ちを伝えたりすることも大切です。

意思決定の際には、マネジャーの独断ではなく、メンバーの意見を聞きます。一緒にフィードバックをして、今後の目標や課題を共有するといいでしょう。

ただし、マネジャー自体が信念や自信を持ち、チーム内で尊敬される存在になることが大切です。

サポートするだけでなく、ディスカッションを進める能力など、マネジャー個人のスキルを高めていきます。

マネージャーの役割

心理的安全性を高めるためには、マネジャーが良い雰囲気作りを実行し、メンバーの心配を解消することが大切です。

積極的に話し合える関係性や環境を構築します。まずは、積極的な姿勢を示すことが重要です。

メンバーの話を聞く姿勢として、「目を見て話す」「メンバーから学ぶ姿勢を示す」「相槌をうつ」などをします。

そして、否定的な意見で反応せず、理解していることを示しながら会話を進めるといいでしょう。

責める言い方ではなく、相手の言葉に耳を傾け、対話することが重要です。

心理的安全性の測定項目

心理的安全性は、組織行動学の研究者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が、1999年に提唱したものです。

エドモンドソン教授は心理的安全性を測定するために「7つの質問」を自身の論文に掲載しています。

心理的安全性を測定するために「7つの質問」
  • チーム内でミスをしたら批難されることが多い。
  • チーム内で難しい課題や問題を提起することができる。
  • チームのメンバーは、異質な人や意見を拒絶しようとする。
  • チーム内で安心してリスクを取ることができる。
  • チームメンバーに助けを求める辛い。
  • 他人の成果をわざと無下にするような行動をする人は誰もいない。
  • チームメンバーと仕事をする際、自分のスキルと才能が尊重され役に立っている感じる。

チームメンバーがこれらの質問にポジティブな回答が多いほど、心理的安全性が高い環境と言えるでしょう。

状況を把握するためにも、アンケートなどで定期的にメンバーの声を聞くことが大切です。

グーグル社「Google re:Work」

グーグル社では、多くの仕事をチームでの共同作業で行っています。チーム内の対人関係に問題があったり、適切なスキルが発揮できなかったりすると、メンバー内の摩擦や生産性の低下が生まれるという問題を発見しました。

そこで、「チームとは何か」を考え、メンバーの関係性や効果的になるチームの条件などを分析し、その結果をもとにチーム編成などをしています。

また、マネジャーなどが意識的に心理的安全性を確保できるように努力していることが特徴です。

  • マネージャーによるチームの評価
  • チームリーダーによるチームの評価
  • チームメンバーによるチームの評価
  • 四半期ごとの売上ノルマに対する成績

定性的な評価は主観が入ってしまうため、定量的な指標も組み合わせて、的確に効果を把握できることが大切です。

最終的に生産性を高める因子として、「心理的安全性」「相互信頼」「仕事の構造や明確さ」「仕事の意味」などを重要視しています。

心理的安全性を高める取り組みとして「仕事は学習の機会として捉える」があります。

学習段階であるため、失敗を恐れずに行動することが目標となり、上司からの助言やフォローもされやすくなります。

また、「間違えることを認める」というのも重要です。他の人の間違いを非難するのではなく、誰もが間違えることがあるという前提に立ち、間違いが発生した時にはチーム内で共有し、分析や評価・対策をして活かすのです。

さらに、「好奇心をもつ・積極的に発言や質問をする」という取り組みでは、気軽に発言や質問ができる環境によって、多くの意見や提案を出しやすい雰囲気を作ります。

参考:Google re:Work

まとめ

グーグル社のリサーチチームは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」だとしています。

心理的安全性はチームの土台となる要素です。

生活してきた環境や文化、価値観が異なる多様なメンバーで仕事を進めるうえで、一人ひとりの人間関係の良し悪しではなく、企業・個人双方にとって心理的安全性の高いチーム作りが事業運営においてますます重要になるでしょう。