数年前からよく耳にするようになった、「パラレルキャリア」。
副業解禁がすすみパラレルキャリアの情報や取り組み事例を目にする機会は増えています。ニューノーマル時代では働き方や仕事への関わり方も変化していくことが予想され、パラレルキャリアはこれからの働き方を考えていくうえで重要な視点でしょう。
さらに少子高齢化の影響から労働人口不足問題を抱える日本では、今後も働き方に関するさまざまな取り組みが実施されていくことでしょう。
そこであらためて働き方のひとつとして「パラレルキャリア」とはどういうことか確認してみましょう。
パラレルキャリアの特徴
パラレルキャリアとは、「本業を持ちながら第二のキャリアを築くこと」を指す言葉で、経営学者として有名なP.F.ドラッカーが著書で提唱した概念です。
日本語なら「複業」や「兼業」と表現されるでしょう。
パラレルキャリアはよく副業と混同されますが、両者は目的が大きく異なります。 副業を始める場合、本業以外から収入を得ることが目的なのに対し、パラレルキャリアは、スキルアップや社会貢献、自己実現を目的としていることが特徴です。
副業と違い、金銭を得ることが主な目的ではないため、ボランティアや趣味で始めた活動が、パラレルキャリアに発展するケースもあります。
また、副業はあくまで本業が中心ですが、パラレルキャリアはどちらかが本業という概念ではなく、ボランティアも含めた複数の仕事に並行して取り組むことが特徴です。
パラレルキャリアが注目される背景
経済が右肩上がりで発展していたころの日本では、終身雇用や年功序列などの働き方がスタンダードでした。
以前は、ひとつの企業のなかでスキルアップやキャリアアップを重ね、定年まで勤め上げることが前提でしたが、雇用の流動化により転職が当たり前の時代に突入すると、キャリアを取り巻く状況は大きく変化しました。
企業に頼り切りのスキルアップやキャリアアップが難しくなり、個人単位のキャリア設計が必要になったのです。
このような社会の変化を背景に、パラレルキャリアを通したスキルアップ・キャリアアップが注目され、パラレルキャリアを模索する人も増えました。
さらに、SNSなどのITツールの普及により、さまざまなコミュニティと関わり、個人でも簡単に情報収集や配信ができるようになったこともパラレルキャリアに取り組みやすくなったと考えられます。
始め方は人それぞれ!パラレルキャリアの具体例
パラレルキャリアの始め方は人それぞれです。しかし、パラレルキャリアを持つ人の多くは、本業で身に付けたスキルを起点としてキャリアを築いています。
企業経験を活かし地元で事業を開始
ある男性は、会社に勤める傍ら、地元で地ビールの卸販売や小売販売を行う事業を行っています。「本業で身に付けたスキルを活用して地元に貢献したい」との思いで企画された地ビールビジネスは、地元で行われたビジネスコンテストでの優勝を機に始まりました。
「掛け持ちで販売しているビールなど中途半端なビールだ」と辛口コメントを投げかけられることもあるそうですが、会社勤めだけでは決して得られない経験を得ているそうです。さらに、これら地ビールビジネスの経験がもう一方の仕事にも生かせていると感じる場面あるそうです。
フリーランスからキャリアをスタート
別の男性は、ゲームの自主制作資金を集めるため、クラウドソーシングを利用して活動を開始しました。目標を達成した後は、クリエイターを集めマルチメディア制作サークルを立ち上げました。
この経験をきっかけに、プラットフォームの運営企業に転職し、ディレクターとして活躍しています。フリーランスのクリエイターという一面とプラットフォーム運用側の経験から培った視点を生かし、顧客企業にアドバイスを行っているそうです。
このように、パラレルキャリアの始め方は人それぞれですが、パラレルキャリアで得た経験や視点が、また別の仕事に生かせている点は、どちらの働き方にも共通しています。
パラレルキャリアの始め方!活用したいサービスも合わせて紹介
パラレルキャリアを始めたいけれど、なにから取り組めば良いか分からないという場合は、まず自分のやりたいことを追求してみましょう。
パラレルキャリアの目的のひとつに、自己実現があります。これを達成するには、「自分が本当にやりたいことはなにか」「人生で達成したい目標はなにか」を見つめなければなりません。
やりたいことを追求するときは、「自分がやりたいことはなにか?」との質問への答えに、さらに「なぜ?」wp繰り返し自分に理由を問いかけると良いでしょう。
質問を繰り返し、やりたいことをどんどん深堀りしていくと、自分では思いもしなかった願望に辿り着くことがあります。深堀りした結果、見つけた願望があれば、それを実現できそうな方法を探すと良いでしょう。
また、自分がいま、どんなスキルを持っているかを棚卸しするのも、あなたに合ったパラレルキャリアを見つけるのに有効です。パラレルキャリアはスキルアップにも繋がります。持っているスキルをパラレルキャリアに生かせば、専門性を引き上げられるでしょう。
パラレルキャリアのスタートに役立つサービス事例
パラレルキャリアの始め方で迷ったときは、パラレルキャリアを持つ人を応援するサービスを活用すると良いでしょう。
ビザスク
本業で培ってきた経験やスキルを生かしたい人は、「ビザスク」というサービスが適しています。
ビザスクは、ビジネスの知識や経験を持つ個人と、アドバイスをもらいたい依頼者とをつなぐマッチングサービスです。ビザスクに登録すれば、依頼者にスポットコンサルを行うアドバイザーとして活躍できます。
サービスグラント
プロボノとして活動したい方には、「認定NPO法人 サービスグラント」が適しています。
サービスグラントは、社会課題解決のために、プロボノプロジェクトを通じて非営利組織の運営基盤強化を支援しています。募集されているプロジェクトに応募すると、NPOなどの団体とともに社会貢献活動に参加できます。
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
フリーランスとしてキャリアを築きたい方で、スキルアップやキャリアアップの支援などを受けたい方は、「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」への入会を検討するのも良いでしょう。
本協会は、独立して活動するフリーランスやパラレルワーカーの有志により設立された非営利団体です。
スキルアップやキャリアアップの支援以外にも、会員には、万一に備えた賠償責任補償が自動付帯されるほか、ワーキングスペースの提供や、会計・事務のサポートなどの事業支援も行っています。
まとめ
金銭的な収入を増やすことを目的としない「パラレルキャリア」では、自身の成長や社会貢献、自己実現のための活動として位置付けられます。
ニューノーマルの時代では、デジタル化の推進や在宅勤務の導入など、個人の活動も変化しています。この変化の中で、収入だけでなく、自身のあるべき姿や身近で大切な人たちとの関係を見つめることで、自分らしい働き方が見つかるかもしれません。
何か新しい一歩を踏み出したいと考えているなら、パラレルキャリアを始めてみることがおすすめです。