日本では少子高齢化などが進んでいますが、同時に多くの企業にとって課題となっているのが労働人口および労働力の不足です。
こういった課題を解決すべく、始まった取り組みの一つが「働き方改革」というもの。
働き方改革は数多くのサラリーマンにとって重要な取り組みですが、その内容を詳しく知らない人もいらっしゃることでしょう。
ここでは、働き方改革とは何か、それによってどのような影響があるのかなどを解説していきます。
働き方改革とよく聞きますが、具体的にどのような取り組みなのでしょうか?
働き方改革とは?
働き方改革は、文字通り働き方を変えるため取り組みであり、今までとは違う社会の枠組みを造ることを目指す改革です。
厚生労働省の働き方改革特設サイトでは、”働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革”として、「一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ」と位置付けられています。
「格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点」で取り組み、働く人それぞれが抱える事情に応じた「多様な働き方」の実現を目指すものです。
高齢者や女性にとどまらず、多くの人が「この職場で働きたい!」と思えるような職場環境の改善も目的としています。
中小企業がカギとなっている
この働き方改革を成功させるためのカギとなっているのが、日本の雇用主として大きな割合を占めている中小企業です。
大企業とは違い規模が大きくはないことから、働き方改革に際しての勤務時間や人材配置の変更なども難しくないという強みがあります。
また、大企業よりも長時間労働や人材不足といった課題が多く見られるのも、中小企業に働き方改革が必要とされている理由です。
働き方改革によって生じる変化
働き方改革は既に始まっており、将来的に生じるであろう変化もいくつかあります。
ここからは、変化する3つのポイントについて解説していきます。
労働時間が減少
日本において大きな課題とされているのが、長時間労働です。サービス残業や時間外労働などを強要する企業が少なからず存在しており、そういった企業はブラック企業と言われます。
働き方改革では、こういった長時間労働を無くすべく、法律の見直しが行われました。
今までは1日8時間、週40時間以上の労働をするためには36協定という協定書を使用しており、延長できる時間も1カ月45時間、1年で360時間までと決められていました。
しかし、特例でそれ以上の労働時間延長を可能にするような法律があったため、ほぼ無制限の残業が可能となっていたのです。
働き方改革の後は、この特例の労働時間延長にも1カ月100時間までという制限が付きました。
これにより、過酷な長時間労働が減少していくとともに、ブラック企業も減少していく効果が期待できます。
正規・非正規雇用の格差解消
国内の企業では、正社員と非正規雇用の社員との格差も問題となっています。
正社員よりも賃金が6,7割程度しか貰えないにも関わらず、仕事内容が変わらない、もしくは過酷なものになっているという問題です。
他国では両者の賃金格差がほとんどない国もあることから、さらに注目されていた問題でもあり、働き方改革によって見直されることになりました。
具体的に行われたのが、格差を是正するための法律およびガイドラインの整備、そして非正規雇用社員のキャリアアップ推進です。
それと同時に、非正規雇用の賃金格上げにも力を入れています。
人材の多様化
働き方改革の指針として重要なのが、人材の多様化です。
要するに、「さまざまな背景を持つ人が自由に働ける社会」の実現を指します。
日本では60歳で定年を迎え、それ以降は年金を中心に生活していくというライフスタイルが一般的とされていましたが、内閣府の調査で高齢者の多くが高い就業意欲を持っていることがわかりました。
働き方改革では、そういった就業意欲の高い高齢者の就職支援も重視しています。そのため、改革が進めば職場に高齢者が増える企業も多くなるでしょう。
働き手にとってのメリットはある?
政府にとっては「労働生産性の増加」といったメリットのある働き方改革ですが、「働き手にとってメリットはあるのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。
働き手にとって直接関係するメリットの一つは、労働時間の見直しがされる点です。
ブラック企業では過酷な長時間労働に耐えきれず、自ら命を絶つほど追い込まれてしまう例もありました。そうでなくとも、現在労働時間が長くて苦しい思いをしている方は少なくないでしょう。
「1日8時間労働」がほとんどの中小企業の標準となれば、自分の趣味や研鑽に時間を使えるようになり、生活も豊かになっていく可能性があります。
また、人材が多様化することによって、今まで就職を断られてきた高齢者や女性でも自由に働けるようになります。
働き方改革を促進していくことは、働き手にとっても大きなメリットがあるのです。
新しい働き方に対応しよう
これからの時代に合わせて、新しい働き方を提案し、促進するのが働き方改革です。
働き方改革に先んじて対応していくことによって、労働不足の解消や、企業の生産性増加につながることも考えられます。
今まで働き方改革についてよく知らなかったという方も、ここで解説した内容を参考に、新しい働き方に前向きに対応していくと良いでしょう。