面接での受け答えは転職が成功するか否かのかぎを握ります。それだけに、目前に迫った大舞台、緊張するのは当然です。しかし、事前に質問に対する回答がしっかり準備できていれば恐れる必要はありません。
中途採用の面接には聞かれる質問の傾向があります。この記事を参考に、それぞれの内容について十分に対策を立て、希望する企業への転職を勝ち取りましょう。
中途採用の面接に成功する第一歩は、面接官の心理を想像することから
面接とは、人柄を見極める機会のことです。面接官は応募者がどのような人物であるかをじっくりと観察したうえで、採用するメリットがあるかどうかの判断を行います。面接の場で入社への熱意を示すことはもちろん大切ですが、中途採用の応募者はそれだけでは不十分です。
なぜなら面接で熱意を重視するのはどちらかといえば新卒の採用に関するケースだからです。中途採用に関していえば、重視されるポイントはズバリ、応募者が即戦力になるかどうかという点だといえるでしょう。そのため、面接官の考える即戦力とはどのようなものか、想像してみることが大切になってきます。
では、即戦力とはどのようなものなのでしょうか。一言でいえば、特別な教育や指導を施さなくても入社したその直後から業務の担当者として活躍してくれる人材ということになるでしょう。そのために必要なのは、実績であり資格であり、仕事へのこだわりやリーダーシップであったりします。
コミュニケーション能力なども求められる資質に加えることができるでしょう。中途採用を選考する場合、面接官はこのような観点で応募者を審査します。そのためこれらの点について事前に準備しておけば、余裕をもって面接に挑むことができるでしょう。
中途採用の面接で質問される5つのカテゴリー
中途採用の面接では、必ずといっていいほど質問されるカテゴリーがあります。
それは「①自己紹介②志望動機③転職理由④前職での実績⑤逆質問」の5つのカテゴリーです。それぞれのカテゴリーごとに質問する面接官の意図と回答のポイントを確認していきましょう。
自己紹介
自己紹介では、自分がどのような人間であるかを端的にまとめて伝えることが求められます。人柄のよしあしだけではなく、ポイントを絞って明確に分かりやすくアピールできるか、明瞭な言葉遣いができるかどうか、コミュニケーションを適切にはかることができるかどうかといった点が見られています。注意点としては、饒舌になりすぎないということです。接続詞を連ねてだらだらと話を伸ばすのではなく、エピソードごとに端的にまとめ、時にはユーモアも交えながら語尾を明瞭に言い切ることでよい印象を残すことができます。
志望動機
応募者が即戦力として有用であるかどうか見極める手段として、志望動機が問われます。曖昧であれば評価は厳しくなるので注意が必要です。具体的にいえば、応募先に対する企業研究が十分になされているかどうかが試されています。企業が今後事業展開していく方向について正しく理解したうえで、自分の持つスキルや実績がその方向に沿って十分に発揮できるという点を説得力をもって伝える必要があります。
転職理由
せっかく採用してもすぐに辞められてしまうのではないかと企業は警戒します。そのため面接官が転職理由を聞く場合は、就職をしても長く居つかない離職傾向が強い人かどうかという点を確認しています。どのような就労環境下でも少なからず不平や不満が生じる部分はありますので、その点を転職理由にするべきではありません。回答のポイントとしては、以前の職場のネガティブな部分を理由にするのではなく、あくまでもポジティブな動機で、転職希望先の業務に携わりたいから、という点を強調して熱意を示すことが大切です。
前職での実績
即戦力としてどの程度能力を発揮してくれるのかという点に関して、面接官が重視するのは前職での実績です。成し遂げた成果の内容や程度によって、これから任せようとする業務に見合うだけの実力があるかどうかを見極めようとします。そのため、回答する際は、実績の内容がわかりやすく伝わるように、具体的な事例に沿って数字を挙げながらまとめることが必要です。多くの実績がある場合は、転職先で求められる業務の内容にそぐうような経験を選択して話すとよいでしょう。
逆質問
面接の後半には、採用担当者から応募者に向けて「聞いておきたいこと」を質問するよう求められることがあります。これは面接の時間が余ったからとりあえず聞いておこう、というような性質のものではなく、応募者の熱意や関心度を再確認するための質問ですので、油断してはいけません。間違っても特にありませんというような消極性は見せないようにしましょう。質問の内容も就労の条件面だけでなく、業務への積極性が伝わるようなやる気の見える問いかけを行うことで面接官の信頼度を勝ち取る可能性が高まります。
これだけはチェックしておきたい、面接を勝ち抜くための事前準備
企業側にとって中途採用とは、とりもなおさず即戦力を補充することに他なりません。そのため、その要求に応えられる準備をして面接に臨むことが成功につながる最短ルートです。
キャリアの棚卸し
まず必要なのは自分のキャリアの棚卸でしょう。前職での実績や現在持っている資格やスキル、培ってきた経験をまとめることが事前対策として第一に着手するべき作業になります。
実績をまとめるのであれば具体的に数字を入れながら内容も含めて記すことが大切です。手がけたプロジェクトの目的や自分がそこで果たした役割、どのような方法でいつまでに何を成し遂げたのかといった点について、具体的に数字を入れながら伝えましょう。
プロジェクトを進める中で直面した困難などがあれば、それにどう立ち向かってどう克服したのかなどを盛り込むと体験に臨場感が加わります。
実績の伝え方
たとえば次のようなまとめ方です。
新規採用に関して、低迷していた応募率を上げるために、採用プロジェクトの発足を提案したところ、そのリーダーとして5名の部下を率いてシステムを構築しました。SNSを積極的に取り入れ、紙媒体と合わせてシナジー効果を高める方法を試したところ、前年比120パーセント増の応募者を獲得できました。
SNSの併用は前例がなかったことでもあり、社内の拒否反応を引き起こす場面もありましたが、各部署への粘り強い説得活動を通して実現にこじつけることができました。スタッフが全員力を合わせて課題に取り組んでくれたおかげで目標以上の成果を達成することができました。
このように具体的にまとめれば面接官は応募者の能力を見極めやすくなります。
なかでも、自分が果たした役割を織り込みながらまとめることでコミュニケーション能力の高さも訴求でき、なおかつリーダーシップを発揮できる人という点で評価を高めることもできるでしょう。
スキルの整理
スキルの分野では特定の分野に関して必要とされるテクニカルスキルと、ビジネスマンとしての必携能力でどの分野でも有益なポータブルスキルの二つがありますので、この二つを分類してまとめておき、面接の話の内容によって適切に使い分けることが有効です。
企業研究
また面接官の心をつかむには企業研究も欠かせません。募集している職種や条件面から企業が目指そうとしている方向がつかめるので、そこを足がかりに研究を深めると効率的です。
WEB面接の対応について
最後に、コロナ禍以降、選考の場でも急速に広がっていったWEB面接での対策を押さえておきましょう。対面とは違い、相手の雰囲気がつかみにくい、声が対面ほど届きにくいという面がある他、通信環境やカメラ、PCの状態に左右されることもあります。
WEB面接でも事前準備が重要です。十分な実績とスキルがあるのにもかかわらず、事前準備を間違えて評価が下がる、というのは非常にもったいないことです。
環境を整える
まずWEB面接特有の事前準備として以下の点を押さえておきましょう。
- ネット環境が安定しているかを確認
- カメラ画像を確認する
- できればPCを用意する
- カメラ位置の調整
- マイク、イヤホンを確認する
- 背景の状態を確認する
- 服装は正装
パソコンやインターネット環境の状態、カメラを通して自分と周囲がどのように映っているかを事前に確認しておきましょう。
WEB面接での話し方
さらに、対面面接と比べると、WEB面接は表情、声などが伝わりにくくなります。そのため、ハキハキとした話し方、笑顔など表情を出す、声の大きさなど全てにおいて、通常よりも2割増し程度で話すようにします。
資料の活用
WEB面接ならではの機能として、資料データの画面共有機能があります。自身の実績や、やってきた仕事内容について資料を用意し、プレゼンテーションをする、という使い方もできます。
こうした資料を使うことが効果的である場合、先方が求めてなくても資料を作成し、画面共有機能を使ってプレゼンテーションをしてPRをするのも効果的です。ただし、企業によっては、必ずそれができるとは限りませんので、面接の雰囲気や進行状況を見極めて実施しましょう。
まとめ
新卒に対する面接とは異なり、転職での面接は前職での実績や経験が重視されます。
面接の関門をクリアするためには、「自己紹介」「志望動機』「転職理由」「前職での実績」「逆質問」の5つのカテゴリーで実績や経験を踏まえた説得力のある回答を準備しておくことが最善の対策となります。
そのためには、即戦力として企業が求める人材像を採用職種や条件面から深く掘り下げ、企業が必要とする人材像に沿って自らの経験や実績を具体的にまとめておくことが最も有効な事前対策です。
転職の面接対策では経験の棚卸を十分に行い、質問の傾向を把握して効果的な回答を心がけましょう。
参考:
WEB面接のやり方~印象を損なわず、高評価を得るポイント~(森田秀司のnote)