フリーランスも対応必須?|2023年10月1日からスタートするインボイス制度とは

フリーランスも対応必須?|2023年10月1日からスタートするインボイス制度とは
2022年2月21日

インボイス制度の導入は、さまざまな点で企業に影響を及ぼします。それはフリーランスにとっても同様であり、しっかりとした対策を取らないと、不利になる可能性も生じます。

とはいえインボイス制度について、実はよく分かっていない、という人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、インボイス制度に対応できるよう、いろいろな角度から詳しくご紹介します。

インボイス制度とは

2023年10月1日より消費税の仕入額控除を受けるには「適格請求書(インボイス)」などの保存が必要となります。このインボイスの交付と保存に関するルールを定めたのがインボイス制度(適格請求書保存方式)です。

インボイス制度の目的

インボイス制度の主な目的は「消費税額の明確化」と「益税の抑制」です。

消費税率が1種類なら、何%であろうと計算するのはそう難しくはありません。電卓などがあればすぐに計算可能です。しかし税率が2種類になると話が違ってきます。別々に計算する必要があるので経理処理が複雑になりますし、申告業務などにおいてミスを犯してしまう可能性もあります。

実際、軽減税率が採用され、税率が2種類になって以降はそういったミスも珍しくはありません。その点インボイスには「税率ごとに区分した消費税額」の項目があるので、それぞれの税率の消費税額が明確に分かります。計算ミスが抑制にくわえ、消費税の明確化は不正の防止にも役立ちます。

消費税には仕入額控除があるため、消費税の一部が納税されずに事業者の利益となるという、いわゆる「益税」が許容されてきました。インボイス制度の導入は、その益税の抑制につながります。というのは、インボイスを交付できない相手から仕入れたものには、仕入額控除が適用されないからです。

インボイス制度に関わるのは誰?

インボイス制度はインボイスの交付と保存に関する制度のため、「仕入先」と「買い手」の両方が関わってきます。

仕入先は買い手からインボイスを要求された場合、交付しなければなりません。また買い手は経理上、仕入先が交付したインボイスを保存しておく必要があります。

インボイス制度を理解しておくのは、どちらにとっても重要なことだと言えるでしょう。

インボイス制度で変わるのは何?

インボイス制度で変わるのは、仕入額控除の要件です。

インボイス制度では仕入額控除に際し、記載要件を満たした帳簿とともにインボイス、すなわち適格請求書が必要となります。適格請求書とは消費税が10%に改正された際、義務付けられた「区分記載請求書」に、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の3つの記載事項を追加した請求書のことです。

区分記載請求書の記載事項は、請求書発行事業者の氏名又は名称、取引年月日、取引内容、受領者の氏名又は名称、軽減税率の対象である旨の表記(※マークなど)、税率ごとに区分して合計した対価の額の6つなので、適格請求書の記載事項は合計で9つになります。

記載事項に含まれる登録番号とは、適格請求書発行事業者の登録番号のことです。適格請求書発行事業者に登録できるのは、消費税の課税事業者のみです。

フリーランスや個人事業主のような免税事業者は、そのままでは適格請求書発行事業者に登録できません。免税事業者が適格請求書を交付するためには、課税事業者になったあとに適格請求書発行事業者登録をする必要があります。

インボイス制度に影響を受けるのはどんな人?

インボイス制度に影響を受けるのは、免税事業者と課税事業者の双方です。

免税事業者への影響

年間の売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税が免除されます。こういった個人事業主などのことを免税事業者と呼びますが、免税事業者はインボイスを交付できないため、取引相手が減る可能性があります。

なぜならインボイスはここまで見てきたように、仕入額控除に深く関係するからです。仕入先が課税事業者なら、インボイスを交付してくれるので買い手の方は仕入額控除ができます。仕入先が免税事業者の場合は、インボイスの交付自体ができないためインボイスが手に入らず、仕入額控除ができません。仕入額控除の有無は、事業者にとって無視できない問題です。

たとえ長い付き合いがあったとしても、品質が同程度なら課税事業者の方を選ぶ、というのはあり得る話です。取引相手が減るのは、フリーランスなどのような免税事業者には死活問題になりかねません。

課税事業者への影響

課税事業者の場合、インボイスの導入によって新しい業務が追加されたり、煩雑化したりする可能性があります。

領収書や帳簿のフォーマットをインボイスに適したものにする必要があり、経理システム自体を見直さざるを得ない場合もあるかもしれません。新しいシステムの構築を、システム会社に依頼しなければならなくなることもあるでしょう。

また経理担当者には、経理が複雑になったり、業務量が増えたりするという影響が考えられます。

インボイス制度への対策として必要なのはどんなこと?

インボイス制度への対策は、免税事業者と課税事業者とで異なります。インボイスは両方に関わることなので、互いの対策を知っておくのが肝心です。

免税事業者の場合

個人事業主などの免税事業者は、顧客や売上、ライバルの有無などによって対策が違ってきます。

顧客が一般の消費者や同じ免税事業者なら、とくに対策せず、以前と同じままでかまいません。問題になるのは顧客が課税事業者の場合です。相手がインボイス導入後も、取引を継続してくれるとは限りません。

また継続してくれるとしても、適格請求書発行事業者の登録を依頼される可能性があります。登録するには免税事業者から課税事業者への変更が必須です。課税事業者になると、消費税の納税義務が発生してしまいます。

免税事業者のままで事業を継続することと、課税事業者になることと、どちらが自分にとって有利なのか考え、登録するかどうか判断するのが大事です。

例えば、競争力のある独自の商品やサービスを手掛けているのなら、その路線を推し進め、売上が年間1,000万円を超えた時点で適格請求書発行事業者の登録を済ますのもいいでしょう。また取引先との関係性が深く、免税事業者のままでも取引の継続が望めそうな場合も、急いで登録する必要はありません。

ただし、状況が変わったときのことを考えあらかじめ登録の準備をしておくことは心がけましょう。

課税事業者の場合

課税事業者の場合は、インボイス導入にあわせたタイムスケジュールを立て、それに沿って準備を進めるのが大事です。

最初に行うのは、税務署に出向いて適格請求書発行事業者の登録をすることです。また、この登録は自社だけの問題ではありません。仕入先に免税事業者がいる場合、適格請求書発行事業者の登録をする予定があるかどうか確認する必要があります。

相手にとっても難しい選択であり、時間がかかる可能性があるため、できるだけ早めに確認、もしくは登録を依頼するのが肝心です。登録をする予定がないというときには、違う仕入先を探すかどうか検討する必要が生じます。

経理システムの見直しやソフトウエアの更新は、税理士やシステムエンジニアなどの専門家と相談しながら進めましょう。インボイス制度の勉強会を実施し、経理担当者の意識と知識を高めておくのも大切です。

インボイス制度の対策は早めが肝心

インボイス制度の導入はフリーランスや個人事業主にとっての大きな転換点になり得る事態です。

取引先が絡んでくる問題なので安易な決断は避けなければなりません。肝心なのは早めに対策を考えておくことです。インボイス制度の仕組みや仕入額控除、適格請求書などについて勉強するのはもちろん、自身の事業の将来的な展望をもう一度描き直す必要もあるでしょう。

インボイス制度の導入にあわせ、適格請求書発行事業者になるかどうか判断するためにも、できるだけ早めに対策しましょう。